「春の嵐」という素晴らしいタイトルが示す心のざわめきをこの映画は見せたかったのだ。もちろん原題はたぶん別にあるし、邦題も『スプリングフィーバー』とカタカナになっているから、誰も直接的には『春の嵐』とは言ってないけど、僕にはその清々しいタイトルが、この割り切れない映画にぴったりだと思えた。
3人の男たち、2人の女たち。5人の恋愛感情の揺らぎが描かれていく。もっと平穏で穏やかな人生を送りたかった . . . 本文を読む
正面を向いてしゃべる。会話の相手を見ない。前作『ダイダラザウルス』でも試みたことを今回はさらに先へと進めた。テキストを持ち、下を向いてしゃべっていた三田村啓示を中心にして内省的なドラマを作り上げた前作のアプローチはアクシデントからの仕方がないこととはいえ、それでも、今、芝居で可能なひとつの取り組みとして、とても前向きな試みだったと思う。
あの作品を経てその後深津さんが何をするのかと、期待して . . . 本文を読む
終わってみると、なんと2時間20分の大作だった。作っている本人たちにはきっとそんな自覚はない。だらだらバカバカしいギャグを演じているうちに気付くとこんなことになっていただけなのだ。しかも、見ている僕たちもあまり自覚はない。笑って見ていたらこんな時間になっちゃった、って感じだ。それってなんだか幸福なことだ。
たかせさんが久々に自由奔放な芝居を作っている。この無駄な長さがいい。それで、見ていて退 . . . 本文を読む
心がしんと静かになる。この聖なる夜の中で、自分が包まれていることの幸福を感じる。そんなラストシーンを持つこの小説は、ひとりの少年が自分と向き合いながら自分自身への違和感を持て余していく姿が描かれる。
もどかしい。でも、どうしようもない。誰かにわかってもらいたいわけではない。そんなことはどうでもいい。高校3年。6月からクリスマスまで。彼はオルガン部に所属する。そこはなんとなく、クラブのようなも . . . 本文を読む