なぜか、最近、毎週「ヒーローもの」の映画を見ている。ハリウッドの大作映画は、SFかヒーローばかりになってしまったからだろう。まぁ簡単に作れて派手だし、ちょうどいいのかもしれないけど、その安易さがなんだか哀しい。企画の貧困を見せつけられる。
それなら、見るのを辞めればいい。なのに、別にわざわざ付き合って見なければならないわけではないのだけど、ついつい見にいってしまう。そこに「何か凄いもの」を期 . . . 本文を読む
池田敏春監督の遺作。2008年作品。彼は2011年に代表作である『人魚伝説』のロケ現場で自殺した。素晴らしい映画監督だった。生涯自分の撮りたい映画を撮れないまま、悩み苦しんで、それでも誠実な作品を作り続けた。この文芸映画が彼のやりたかった作品だとは思えない。では、何を彼はしたかったのか。僕にはわからない。デビュー作から、この遺作までほぼすべての映画を見てきたけど、そこには彼の望むものが明確に刻印 . . . 本文を読む
ナチイチ・シリーズである。文庫本は持ち運びが便利なので、癖になる。しかも特製ブックカバーがなかなか持ちがいいから、やめられない。実はもうこの小説に続いて、石田衣良の『1ポンドの悲しみ』という恋愛短編集も読んだ。
この2冊を読みながら、もうしばらくは恋愛小説はいいな、と思った。おなかいっぱいだ。しかも、自分がもう恋愛なんかとは縁のない人生を送っているから、共感できないのもきつい。いや、問題はそ . . . 本文を読む
これは『かもめ食堂』から始まった小林聡美を主人公にして、日常の些細なことを中心に据えた映画シリーズの最新作なのだが、今回は今までと少し違う。それは、ここには彼女たちが集う共通の居場所がないのだ。この連作のいつものパターンは、どこかに彼女たちが集まってくることから生じるドラマというスタイルだった。だが、今回は彼女を中心にして、みんながばらばらで、都会を放浪するばかりだ。でも、タイトルが指し示すよう . . . 本文を読む