上田一軒による演出ではなく、横山拓也による作、演出のこの新作は、今回も象徴的な空間が、芝居自身の描く日常のスケッチと相俟って印象的だ。こういう舞台美術を使いこなせるって凄い。リアルな空間ではこの内面世界は表現できない。しかも、台本は日常のスケッチなのに、である。これはクールで心の奥深くに突き刺さる見事な作品になった。最初はささやかな恋愛劇に見せかけて、重いテーマにまでたどり着く。見 . . . 本文を読む
大竹野正典「ぼつじゅう企画」の一作だが、この作品が一際異彩を放つのは、これが初期の20代の大竹野作品だからだ。20代前半の彼の中にあった恐怖がストレートに出た作品を演出の栖参蔵はまるで当時の大竹野がとりついたような熱意で作品化する。だが、それは若さ故のつたなさを提示するのではない。若さ故の熱をキープしたまま、確かな技術で冷静に適切な演出によって再現する。見事なリメイクだ。
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