青春小説で大学生の男の子と女の子の恋愛小説なのだけど、この小説のつつましさが好きだ。これはキラキラした小説ではない。どこにでもある地味な恋バナで、今時こんな恋愛をする大学生がいるのか、と思うかもしれない。だけど、ほんとうはこんなふうに憶病で、誠実な恋はある。
少しずつ距離を詰めていくけど、おどおどしながらで、なかなか近づけない。だけど、それは全くもどかしくはない。これでいいのだ、と思う。映画や小 . . . 本文を読む
大阪について書かれたエッセイなのだけど、読みながら、これはまるで自分の気持ちが書かれているようだ、と思った。なんだか不思議な気分だ。自分が見てきたものがそこにはある。ふたりの作家がそれぞれの視線から交互に大阪への想いを綴る。引き込まれてしまう。
幼年期大阪の大正区で暮らしていた。柴崎さんが書いていることのひとつひとつに思い当たることがあり、それはまるで自分の記憶そのものだ。
泉尾中通りの商店街 . . . 本文を読む