久々のクロネンバーグ監督作品。なんと8年ぶりとなるらしい。80代になってもう何本も撮れないだろう。これが遺作になるかも知れない。先日見たバリー・レビンソンもそうだった。80年代一世を風靡した彼らが晩年を迎える。最後に何を遺すのか。
最初の1本は『スキャナーズ』。当時『イレーザーヘッド』と2本立で見た。衝撃的だった。もちろん、後者が。でも、クロネンバーグ作品も面白かった。その後、『ビデオドローム』 . . . 本文を読む
これは「私は私」というある1人の女性のお話。AはAというパターンで、くり返しの言葉が延々と続く。同語反復が延々と続くのだ。明確なストーリーはないけど、飽きさせないのはこの芝居は同語反復の積み重ねからある種のドラマを提示するからだ。
芝居自身はいつものパターンだが、とても新鮮。思い返すと最初に見たうさぎの喘ギ『うさり』(18)も同じ芝居が2度繰り返されるという驚きの芝居だったが、あの時は繰り返しに . . . 本文を読む
第66回群像新人賞受賞作。新人のデビュー作を読むのは楽しい。ドキドキしながら読み始めた。コロナ禍直撃の頃、公園にある縛られ地蔵の前で高二の女の子が、同い年の女の子と出会う。しずくとタマキ。ふたりで過ごす時間が描かれる。不妊治療に失敗してそれでもまた子供を産みたいと苦しんでいる母と偏頭痛に苦しめられる娘しずく。父親の死んだ理由。彼女の秘密。同じようにもうひとりの女の子タマキ(本当はメイ。タマキは死ん . . . 本文を読む