今日は子どもの日。だからこの小説を読むことにした。佐藤正午の新刊である。懐かしい。彼のデビュー作『永遠の1/2』は出版された時に読んで、この人はまるで村上春樹みたいだ、と思ったことを覚えている。久しぶりに彼の新作を読んで、この感じが好きだったことを思い出す。謎だらけのまま話は進行する。
初期の作品は毎回必ず読んでいたが、やがて間遠になった。直木賞受賞で話題になった『月の満ち欠け』も読 . . . 本文を読む
6つの連鎖短編からなるゴシックロマン。陸の孤島、中高一貫全寮制学校。ここは「ゆりかご」か「墓場」か。「養成所」か「療養所」か。さまざまな生徒たちがやって来て、去っていく。読みやすいけど、作品としてはあまり完成度は高くはない。余白が多いのは悪くはないけど、あまり中身はないから雰囲気だけで押し通す感じ。
独立した短編を通してこの学校という牢獄が描かれていく。彼らは10代の1番輝いてい . . . 本文を読む