久々の再演だ。なんと9年振りということだ。前回以上にさりげない作り方をしている。舞台美術も最小限にとどめる。何もない空間で、そこが築100年の民家の離れとなる。もう取り壊しが決まったその場所を舞台にして、その中を整理をする若夫婦の姿が描かれる。もうすぐ、お盆で姉妹たちが里帰りしてくる。その前になんとかしたいのだがなかなか作業は進まない。
これは3姉妹のお話。両親はもういない。3女がこの家を継いだ。東京でバリバリ働く長女。仕事で行き詰まってイライラしている。次女は暢気そうに見えるが決してそれだけではない。親戚の男や、近所の幼なじみが訪ねてくる。夏祭りに行く。そんなこんなのどこにでもあるようなエピソードが淡々としたタッチで綴られていく。特別なお話はない。3姉妹の確執も描かれるのだが、これもまた大仰なお話にはならない。
ラストでは、死んでしまった母親がやってくるシーンがある。これも実にさりげなく描かれる。姉とのケンカも、決裂ではない。
この作品を通して寺田さんが描きたかったことは、何もない日常の機微だ。お盆という時間を通して、ばらばらになった家族が寄り添う瞬間。今ではそういう時間すら失われようとしている。田舎の古い家を守ることは、そういう自分たちの生活を守ることでもある。みんなが集まれる場所としての「実家」という場所。
離れであるこの蔵の縁側にたたずみ、どうでもいいような話に明け暮れ、時の過ぎゆくまま、ただ、たゆたう。芝居は最小限の登場人物にとどめて、彼女らによる小さな静かな時間が描かれていく。たった90分のそんな芝居が、こんなにも胸に沁みる。
これは3姉妹のお話。両親はもういない。3女がこの家を継いだ。東京でバリバリ働く長女。仕事で行き詰まってイライラしている。次女は暢気そうに見えるが決してそれだけではない。親戚の男や、近所の幼なじみが訪ねてくる。夏祭りに行く。そんなこんなのどこにでもあるようなエピソードが淡々としたタッチで綴られていく。特別なお話はない。3姉妹の確執も描かれるのだが、これもまた大仰なお話にはならない。
ラストでは、死んでしまった母親がやってくるシーンがある。これも実にさりげなく描かれる。姉とのケンカも、決裂ではない。
この作品を通して寺田さんが描きたかったことは、何もない日常の機微だ。お盆という時間を通して、ばらばらになった家族が寄り添う瞬間。今ではそういう時間すら失われようとしている。田舎の古い家を守ることは、そういう自分たちの生活を守ることでもある。みんなが集まれる場所としての「実家」という場所。
離れであるこの蔵の縁側にたたずみ、どうでもいいような話に明け暮れ、時の過ぎゆくまま、ただ、たゆたう。芝居は最小限の登場人物にとどめて、彼女らによる小さな静かな時間が描かれていく。たった90分のそんな芝居が、こんなにも胸に沁みる。