今年最後の神原作品。今年も例年通り年に4回芝居を打つ。そして最後は恒例のオムニバス『わらわら草紙』である。今回も3話からなる短編集。来年は4本にしよう、と神原さんが話していたけど。きっと来年もあるということかぁ。しかもこの『わらわら草紙』は次回で10回目になる。そして、彼女は来年も年に4本芝居をすることになる。
今回の共通テーマは「お祝い」。ということだが、あまりストレートなものではないから、後でこれはもしかしてお祝い?って感じ。舞台にはサブロクの平台だけ。舞台装置はない。確かにそう言われたならちょっとしたアニバーサリーかな、くらいのささやかさ。
1話は『ブブブの大鬼太郎ー迷走くだんの巻』(作、演出は務川智正)。岩井宏行の鬼太郎が妖怪の国に誘う。ねずみ男は島上とおる。たわいない話だけど、楽しめる。
2話『踊り場は踊る』はふたり芝居。若いふたりによる再生の物語。神原組の芝居だとは思えないピュアな作品。なんでもありの神原組だからこれはこれで大丈夫。作、演出、主演は上坂留叶。(共演は大元喜翔)ビルの踊り場を象徴的に使って、自殺を食い止めるおせっかい男と屋上から下を向いている男の一瞬の邂逅を描く。爽やかな短編に仕上がっている。
そして最後はもちろん神原くみ子、作・演出・出演の『わちゃわちゃ草紙』。こちらはいつもの神原節満載のお楽しみ劇場。達者な役者たちを集めて原っぱでの記憶を描いた。