乃木坂46による劇映画として企画された作品らしい。でも、僕はこの映画の中の誰がそのメンバーなのかも知らない。主人公はメンバーの一員なのだろうし、白石麻衣は先日スマホの映画で知った。その程度。監督が英勉なので、あまり期待していなかったが、予想通り、何の特色もない映画だった。彼の映画にしてはコメディ色は薄いけど、当然シリアスでもなく、軽めの作品。でも、さらりと流していく感じで、何のフックもないけど、それはそれで悪くはない。ただそれだけではちょっと辛い。なぎなたを取り上げた映画というのは、たぶん初めてで、そこは珍しいのだけれど、それも、ただそれだけの域に止まる。残念だが、それ以上に新しいところはない。では、この映画は何を目指したのだろうか?
天然系のヒロインもそれほどには魅力的ではなく、彼女がなぎなたを通して、何を得て、何を手にするのかもよくわからない。白石麻衣の演じる先輩も、なぎなたは凄いけど、全く勉強が出来ないとか、ちょっとしたワンポイントの設定で笑わせるけど、それだけ。なぎなた部は東京都全体で7校しか、クラブがなく、高校始めの新入部員がインターハイを目指すことが出来るというメリットがある。だけどそれが彼女たちのモチベーションを高めるというわけでもない。この映画の設定が他の映画にない特質で、そこをどう生かすのかが大事なポイントのはずなのだが、当たり前の中にお話を落とし込んで、軽めの映画としてあたりさわりもなく終わる。これでは物足りない。
タイトルの『あさひなぐ』って、ヒロインの旭(あさひ)が、心地よい部活動の中で心の平安を得ていくということか。このタイトルには、こころひかれるものがあるだけに、それが映画のなかでも、生かされていたならよかったのだが、それはない。
なぜ、なぎなただったのか、そんなことは彼女にもわからない。たまたま誘われて、たまたま入部した。だけど、そこで心の安らぎを得て、仲間と過ごすことで、幸せな気分になった。なぎなたが好き。だからがんばれる。そんな何の特徴もない女の子を西野七瀬は演じた。最初に彼女を「魅力的ではない」と書いたけど、もしかしたら、そのどこにでもいそうな女の子であることが彼女の魅力であり、この映画の目指したものなのかも知れない。そんなふうにも考えたけど。