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こういう芝居を真紅組番外公演として上演する試みが面白い。オリジナル台本ではなく、海外の既成作品を持ってきて、しかも、男たちだけで、やる。諏訪誠さんはいつも以上に気合が入っているようだ。(もちろん、いつも気合が入っているけど)今までやったことのない試みは刺激的な冒険になるからだ。
4人の役者たちも気合十分。そこで、少し空回りする、というのも、よくあるパターンではないか。軽やかなタッチで全編を駆け抜ける。それはいいけど、芝居自身が少し上滑りした。緩急がない。流れてしまう。そんな印象を持った。
ここには70年代のアメリカの気分が反映されている。しかし、それを今の日本で上演した時、何を見せようとするか。そこが希薄なのだ。必然性はない。それのどこが悪い、と居直られたなら、返す言葉はない。しかし、それでも、そこに明確な定義付けは必要ではないか、と考える。アクチュアリティーに欠く。その結果、作品が嘘くさくなる。それはまずい。
自堕落な生活を送る彼らが一攫千金を目指して銀行強盗をする。しかし、杜撰な計画は失敗に終わる。彼らの自爆行為だ。つまらない夢を追いかけることで、彼らがどこにたどりつくのか、そこがもっと見たかった。
4人のジャンキーは、それぞれ自分勝手に生きている。その小さな世界で身動きが取れなくなる。安易な計画に乗り、仲間割れ、殺しに至る。なのに、まるでめげない。ほとんど、バカ。ノーテンキでいつもはハイな状態。そんな彼らの醸し出すどうしようもない雰囲気はよく描かれてある。それだけにストーリーの表面を追いかけるだけで終わってしまったのが惜しまれる。