いじめられっ子の中学生,宏海がカーリングと出会う。トップアスリートを目指す柚香が、新しいチームのなかで、困難を極める。この2人のエピソードを交錯させていきながら、そこに接点を作り、やがて2人と、彼らのそれぞれのパートナーである2人を含む主人公4人が、ひとつのチームを組んでワンシーズン限りの挑戦に挑む。
世代も違うし、性も違うから、交錯するはずはなかった人生が、偶然から出会い、カーリング競技を通して、奇跡的に一瞬、ひとつになる。そこからそれぞれの人生が始まる。なんだかとても胸が熱くなる小説だ。これは単なるスポコンではない。
自分の人生を閉じてしまった中3の少年が、自分の居場所を見つけ、それを守るために、彼を傷つけるものに対して、初めて本気で立ち向かう。そこから可能性が芽生えてくる。おどおど、びくびくして、生きてきた。誰も助けてはくれなかった。たったひとりぼっちだった。そんな彼にカーリングは自信をさずけてくれた。
それは大人である25歳の女性にも言える。彼女は本気でカーリングに挑むため友情を犠牲にして非情に生きた。その結果、すべてを失う。だが、彼女の選択は間違いではない。本気で考えて最善を選択をしたのに、周囲の事情が彼女をそこに追いこんだのだ。だが、それで彼女は自信をなくす。
誰かが、誰かを助ける。それは偶然でしかないかもしれない。助けたものが、結果的には助けられ、助けられたものが、相手を助けている、そんなこともある。世の中は不思議だ。幸せを分け与えたなら、幸せはどんどん増えて行く。エピグラムにある「一人で食べるパンよりもあなたと半分ずつにしたパンのほうがおいしいね」という言葉が、読み終わった時、改めて胸に沁みてくる。これは甘い小説かもしれないが、僕はこの小説を信じる。
世代も違うし、性も違うから、交錯するはずはなかった人生が、偶然から出会い、カーリング競技を通して、奇跡的に一瞬、ひとつになる。そこからそれぞれの人生が始まる。なんだかとても胸が熱くなる小説だ。これは単なるスポコンではない。
自分の人生を閉じてしまった中3の少年が、自分の居場所を見つけ、それを守るために、彼を傷つけるものに対して、初めて本気で立ち向かう。そこから可能性が芽生えてくる。おどおど、びくびくして、生きてきた。誰も助けてはくれなかった。たったひとりぼっちだった。そんな彼にカーリングは自信をさずけてくれた。
それは大人である25歳の女性にも言える。彼女は本気でカーリングに挑むため友情を犠牲にして非情に生きた。その結果、すべてを失う。だが、彼女の選択は間違いではない。本気で考えて最善を選択をしたのに、周囲の事情が彼女をそこに追いこんだのだ。だが、それで彼女は自信をなくす。
誰かが、誰かを助ける。それは偶然でしかないかもしれない。助けたものが、結果的には助けられ、助けられたものが、相手を助けている、そんなこともある。世の中は不思議だ。幸せを分け与えたなら、幸せはどんどん増えて行く。エピグラムにある「一人で食べるパンよりもあなたと半分ずつにしたパンのほうがおいしいね」という言葉が、読み終わった時、改めて胸に沁みてくる。これは甘い小説かもしれないが、僕はこの小説を信じる。