今年40歳になる岩橋クンが主宰するオリゴ党の新作のテーマは、なんと「今、モテたい」ということらしい。いい歳した男たちが女の子にもてるためにバンドをするなんていうシャレにも冗談にもならないような『寒い』話が展開していくこととなる。これはコメディーにしかならないよ、と思いながら見るのだが、なんと、そうはならない。
それどころか、どちらかというと、シリアスで重いタッチになってしまうのだ。驚きである。この題材で、このストーリラインで、けっこうバカバカしいことも盛りだくさんなのに、そうなってしまうのは、作り手がバカな20代の子ども(失礼!)ではなく、もう充分中年のオッサンでしかない人たちだからだろう。
どんなにはしゃいでも、老いはもうそこまで来ているし、はしゃげばはしゃぐほど無残になる。その事実をしっかり踏まえた上でこの作品は作られてあるのだ。そこがポイントである。この芝居の重さは、作品自体の方向性を明確に示す。そしてそれは今回の作品における岩橋クンの姿勢でもある。
さらには、この芝居が中小企業の工場の独身者寮を舞台にしているというところもポイントとなる。今時、この設定は時代錯誤も甚だしい。工場の労働者、なんていう存在自体がもう過去の遺物のようなものになっている。(もちろん映画や芝居の主人公として、である)しかし、それは絶滅品種というわけではない。この作品描く現実は、あまり顧みられることはないが、今もある現実だ。自分が、高卒であることに対してものすごいコンプレックスを持っている、ということをここまであからさまに描くことも意図的な戦略だろう。岩橋クンは冷静な目で卑屈さとすれすれのところでこの芝居を描こうとする。そこから自分と自分たちの現実を見ている。
だから、これはただの恋バナではない。20世紀のしっぽを引き連りながら、21世紀という先が見えない時代に突入していった我々自身に向けてのレクイエムなのだ。バンドや、労働者、寮の廃止、といったテーマや題材の選定も含めて実に巧妙に仕掛けられてある。
それどころか、どちらかというと、シリアスで重いタッチになってしまうのだ。驚きである。この題材で、このストーリラインで、けっこうバカバカしいことも盛りだくさんなのに、そうなってしまうのは、作り手がバカな20代の子ども(失礼!)ではなく、もう充分中年のオッサンでしかない人たちだからだろう。
どんなにはしゃいでも、老いはもうそこまで来ているし、はしゃげばはしゃぐほど無残になる。その事実をしっかり踏まえた上でこの作品は作られてあるのだ。そこがポイントである。この芝居の重さは、作品自体の方向性を明確に示す。そしてそれは今回の作品における岩橋クンの姿勢でもある。
さらには、この芝居が中小企業の工場の独身者寮を舞台にしているというところもポイントとなる。今時、この設定は時代錯誤も甚だしい。工場の労働者、なんていう存在自体がもう過去の遺物のようなものになっている。(もちろん映画や芝居の主人公として、である)しかし、それは絶滅品種というわけではない。この作品描く現実は、あまり顧みられることはないが、今もある現実だ。自分が、高卒であることに対してものすごいコンプレックスを持っている、ということをここまであからさまに描くことも意図的な戦略だろう。岩橋クンは冷静な目で卑屈さとすれすれのところでこの芝居を描こうとする。そこから自分と自分たちの現実を見ている。
だから、これはただの恋バナではない。20世紀のしっぽを引き連りながら、21世紀という先が見えない時代に突入していった我々自身に向けてのレクイエムなのだ。バンドや、労働者、寮の廃止、といったテーマや題材の選定も含めて実に巧妙に仕掛けられてある。