GW、山盛り見逃していた韓国映画をみた(12本レンタルした)けど、見逃すのにはそれなりの理由があるな、と実感した。そこで今回は1番見たい新作をレンタルしてきた。これはその中の1本だ。ジョニー・トーの香港映画を韓国でリメイクした作品なのだが、オリジナルとはまるで違う作品になっているらしい。(うちの嫁が以前どこかの映画祭で見たけど、こんな映画じゃなかった、という証言あり)これは文句なしの絶品である。
最初から最後まで、この緊張感は半端じゃない。静と動の対比、畳みかけるようなテンポのよさ。特に中国マフィアのキレキレのボスと対峙するシーンが凄い。これっていったいどうなるのかと、ドキドキした。しかも、そのあと、同じシチュエーションを主人公がボス役をして演じることになるという展開には目を見張らされる。
組織の謎のボスを追いかけて、彼の正体に迫り、捕まえる(ことができるのか)というお話自体はよくあるパターンなのだが、ストーリーの組み立て方が見事で、だから最後までその緊張感を持続させることが可能になったのだろう。中だるみは一切ない。派手なアクションだけの映画ではない。緻密な構成と大胆な描写、お話の展開のさせ方の上手さで、スキのない映画に仕上がった。まぁ、お話自体には強引でいささか無理もあるけど、それに犯人(というか、謎のボスですが)も、なんとなく、想像できるけど、それでも有無を言わさぬ展開で納得する。ラストの銃声まで、スタイリッシュで、おしゃれだ。
映画は見たことのないようなお話を提示することで驚きと感動を与えるというパターンもあるけど、この映画のように、見慣れたどうでもいいようなお話を見たこともないようなお話へと変貌させて、緊張と興奮を提示するというパターンもあるのだ。これはその最高の成功例だろう。ジョン・ウーの最高傑作である『狼、男たちの挽歌・最終章』に匹敵する、なんて言ったら褒め過ぎか。