全16話、最後まで見た。後半はこの先どうなるのか、気になり、ついつい加速した。ただ終盤の展開は少し、お話が大きくなりすぎて、この手の「恋愛もの」なのに何だかやり過ぎ、という気もする。政界の話とか、スキャンダルとかいう部分はいらない。最後の父親の拘留とか、である。まるでいらない。もっとノーテンキな終わらせ方でよかったのではないか。
これはボーイ・ミーツ・ガールの小さな世界のお話で充分なのだ。生きる世界の違う男女がそれを乗り越えて結ばれる。そんな夢物語を紡いでくれたならいい。だけど、あり得ないほどの青年の純粋さが彼女に勇気を与え、困難を乗り越える。そこが胆であり、それだけで充分奇跡なのだ。これはシンデレラ・ストーリーではなく、生き方の問題なのである。だからこんなふうにお話を広げなくてもいい。しっかりと彼らをみつめる。それだけで成立する。
せっかくの最高のラブストーリーが、この収束のさせ方で,少し残念なことになったのが、惜しまれる。人は自分たちだけで生きているわけではない。周囲との関係のなかで、(しかも彼女はセレブだから、世間の目にさらされながら)生きている。今まで自分を抑えて生きてきた。今ある仕事だけを生きがいにして、そこに立っていた。だけど、彼が現れて、思いもしないところへと連れて行かれる。本当の自分の人生を発見する。でも、それを受け入れきれない。そんな葛藤をどう乗り越えるか、その過程が丁寧に描かれる。一歩ずつ、前進していく姿が心地よい。それだけにもっと単純なハッピーエンドが必要だったのだ。そこで事件を大きくする必要はない。ふたりが出逢ったこと、困難のなか、その愛を育んだこと、それだけでいい。
夢のような恋物語だけど、細部まで丁寧に作られてあるから、お話に引き込まれる。ロマンチックと日常描写のバランスもいい。それよりなにより、まず、心情を描く部分にリアリティがあるからこんなお話なのに違和感なく乗せられる。作り方が実にうまいのだ。「恋人」ではなく、「ボーイフレンド」という恋人以上の存在には説得力がある。