何をいまさら、なんだが、このタイトルが『マイマザー』だったことに、後で気づく。こんな単純に掛けてあるのは、そこに大きな意味を持たさないからだろうから、あまり気にするまでもない話なのだが。
棚瀬さんが、今度は、子育て中の7人母親と芝居を作る。自分もまた、出産してから初の作品となる。お子さんはもう1歳半になるらしい。もう、というのは僕の認識でしかない、彼女にしてみれば「まだ」であろう。子育ての大変さは僕も2人の父親だからよくわかる。
この作品を見ながら学童の会長をしていた時のことを思い出した。誰もする人がないから、仕方なくすることになった。仕事が忙しすぎて、子供のことにかまっていられなかった。妻からなじられて仕方なく学童の仕事は僕がすることになった。そこで、若いお父さん(当時の僕、ね)に役員を委ねられて、仕方なく引き受ける。20年以上前のことだが、あの当時は大変だった。
でも、保育園のころは、もっと大変だった。週に2回ほど送り(土曜のみ)迎え(だいたいウィークデー2回)をした。最初のころは特に大変だった。当時は6時までしか、預かってくれなかったから、5時に仕事を抜けて、大急ぎで6時に間に合わせるため、駅からは走った。自転車の前と後ろに子供を乗せて、帰る。その後、妻が帰るまで、ご飯の用意をして、待つ。
こんなことを書いていたらいつまでたっても、芝居の話にならない。それに、そんなことはどうでもいい。ただ、この芝居を見ながら、学童の役員会の場面を思い出したからこんな話になったのだ。みんな理想ばかりで、なかなか話が進まなくて、困った。熱心でいいひとたちばかりなので、否定はできないのだが、時間がないのだから、もっと現実的な対応をしてよ、と、(まだ若い)僕は思った。でも、収拾がつかないから、どんどん話をまとめていくことにした。あの頃のことだ。
この芝居もまたディスカッション劇だ。マンションの自治会の役員になった7人の女性が、子供たちのための施設を巡り話し合いを持つ。それぞれの思惑もあり、話はなかなか単純には進まない。だが、表面的にはうまく進行している。少ない予算と時間をやり取りして、みんなのためになるスペースを作る。
今回は、個人の内面に迫るのではない。外での顔を描く。子育てをしながら、仕事をして家事もこなし、暮らしている。そんなどこにでもいる人たちのお話だ。多少の「わがまま」はある。でも、みんなのためになる、と願う。直接は描かれない日常(人生ゲームとして象徴的に描かれる)と、ここでの会合(非日常)とを見せながら、若い母親の現実を垣間見せる。