今回は台湾鉄道を使って高雄からスタートして西から台北へ、東回りで再び高雄まで、台湾全土をぐるっと1周するという旅だ。7日間しか休暇は取れないから、ポイントを絞る。台中と花蓮を重点的に見て、台北はスルーする。初日、無事、夕方には台中に着き、ホテルに荷物を置いて、さっそく映画館(なんだか、なぁ、とも思うけど)に行く。サマーシーズンの大作の数々から1本をチョイス。個人的には王童の新作(『3丁目の夕日』みたいな感じのノスタルジックな映画のよう)が見たかったけど、こういう微妙なドラマは日本語字幕がないので、ちょっと不安だから今回は断念。言葉がわからなくても大丈夫なものから選ぶ。『私の少女時代』も見たかったけど、ダンテ・ラムの『破風』にする。
前作『激戦』と同じく、エディ・ポン主演のスポーツ・アクション。ただ、今回は格闘技ではなく、自転車レースを取り上げたからどちらかというと青春映画。台湾版『弱虫ペダル』って感じ。でも、こちらはダンテ・ラムだし、当然実写なので、迫力が違う。すさまじい肉弾戦が見られる。
ただし映画自体はかなり荒っぽい。お話にも突っ込みどころ満載なのだが、それを勢いだけで、有無を言わさず一気に見せ切ってしまう。
軽快でテンポのいい映画なのだ。次から次へとレースシーンが続き、その合間に、休憩のようにしてお話が挟まれていく。事故、怪我、トレード、ドーピング、チーム内でのさまざまな確執とかも描かれるけど重くはならない。基本は主人公である2人と彼らが好きになる女の子との3人の男女の爽やかな恋愛映画なのだ。
台湾全土をロケして、いくつものレースが描かれる。さらには海外ロケでのレースまで、てんこ盛り。かなりの大作なのだ。2時間6分、言葉なんかわからなくとも内容は単純なのでよくわかるし、全く飽きさせない。実に楽しい映画だった。