習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

湊かなえ『少女』

2010-01-23 07:56:02 | その他
普通に出版される小説がこんなレベルでいいのだろうか。読んでいて唖然とさせられた。表現の稚拙さだけでも、大概だが、ここまで安直な展開をさせていいのだろうか。読みながら偶然があまりに多くて、冷めてしまった。現実はこんなにも都合よく展開するわけがないだろ、と思う。

普通の読者はこのリアリティーのなさにがっかりせずに、これは小説だから、なんて思えるのだろうか。僕には無理。後半の辻褄合わせだけの展開にはとてもじゃないがついていけない。前に評判になった『告白』を読んだときも、後半に同じような感想を持った。最初の思いつきはなかなかおもしろいし、かなりドキドキさせてくれるだけに、それが完全に腰砕けになるのは惜しい,と。だが、今回は惜しくもない。安物の小説って読んだことがないからわからないのだが、こんな感じなのか?

 編集者がもう少しなんとか言ってあげたらいいのに、と思うが、一般読者はこの程度の話でいいのか。これで納得するのか。僕にはよくわからない。2人の少女の話を、ただそれだけを交互に見せていくというのはよくあることで悪くはない。その2人がまるで個性がなくて区別すら付かない、のもおもしろい。だが、区別が付かないのも、作者の意図ではなく、彼女の描写力の稚拙さ故なんですけど、まぁ、それでもおもしろければいい。仕掛けはもしかしたらこの2人の少女は同一人物だった、とかそんな大がかりなどんでん返しか、なんて期待したが、まるでそうではなくて、安直。偶然の連鎖でストーリーを紡いでいくのはルール違反だと思う。衝撃のラスト、らしいが別の意味で衝撃だった。ここまで安易なオチってありか?

なぜ、この小説が出版されるのか、謎だ。


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