習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『デトロイト・メタル・シティ』

2010-01-25 21:29:35 | 映画
 久々にTVで映画を見た。一昨年の夏公開されたこの映画は、劇場では見る気がしなかった。ましてやDVDをレンタルしてくる気もなかった。でも、タダで見れるのなら、まぁ見てもいいかなと思い、1年振りくらいで、TVで映画を見ることとなった。この映画なら、途中でCMが入っても別に気にならない。106分なので、ほぼノーカット放送だろう。TV特別編と宣伝されていたが、どこがどう違うのか。そこはなんだか気になるがまぁ、大したことはないのだろう。

 おきまりのマンガの映画化作品だが、ここまでマンガでしかない設定をされると、なんかこれはこれで潔い。バカバカしさがこの作品のベースになっていて、そこを上手く作ったので、けっこう楽しめる。中途半端はよくない。やるならこれくらいしてくれないと納得できない。

 主人公の松山ケンイチがなりきり演技で凄い。この人は何をやらしても上手いが、役に対して真摯に取り組むところがすばらしい。自分の出てる映画を決してなめたりしない。そんなことプロなら当然のことなのだが、本人は真剣でもスクリーンからはそうは伝わらない
場合も多々ある。この映画は誰もが本気なのがいい。だから、これはちゃんとした青春映画になったのだ。

 主人公の根岸の2重人格的設定で笑わせるのだが、その両極端を、照れずに堂々と見せているのがいい。本気で作ってるから悪ふざけにはならない。こういうワンアイデアの映画は簡単そうに見えて実は難しい。うまく話を展開させていくのが困難だからだ。最初はおもしろくても、すぐに飽きる。そこで飽きさせないためには何が必要か。それは設定を生かしきるだけのきちんとしたお話なのである。話を雪だるま式にエスカレートさせる手もあるが、それよりも、この設定に乗っかったリアルな展開の方が効果的だ。そういう意味で、この映画は成功している。たわいない話であることは談を待たない。だが、そんなこと承知の上で、根岸青年の苦悩とそこからの解放がしっかり描けてあるから、それなりに楽しめるのだ。

 けっして凄い映画だ、なんて言う気はない。バカバカしくたわいない映画だ。それは事実だが、それだけで一蹴できない魅力があることも否めない。

 

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