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この小説以前読んでいる気がする、と思いつつ読み進める。書き下ろし作品とあるし、この9月に出たばかりの本だからいくらなんでも読んでないはず。たぶん同じ話を小手鞠さんは何度も書いているんだ。本人の自伝風作品である。きっとエッセイか何かで書いている。編集者に裏切られた話ってショックだから。
それにしても今はあまりにたくさんの本を読んでいるから最近はどれがどれだったか、混乱している。これはマズい。しかも読んだ鼻から忘れてしまう。こうして認知症への道をまっしぐらである。
さて、この小説である。後半は明らかにフィクションだけどここまであからさまに自分たち夫婦の話(体験)を下敷きにして、でも表面的には運命的な猫ちゃんとの出会いから別れまでの話に収めている。ただ終盤の展開がいきなり時間が飛ぶし、なんだか説明不足で少し驚く。夫との話に猫のトビーの話が入ってきて、ふたりとトビーの話がいきなり死んだ後のことになる。作家としてどんなふうになったのかもほとんど語られない。
こちらは児童書だけど、同じ9月に出版された小手鞠さんの『どろぼう猫とモヤモヤのこいつ』もなんだか収まりがよくない小説だった。タイトル通り、モヤモヤが残る。2冊とも猫がお話に絡んでくるのも共通する。作家とピアニスト(というか、プロではなく発表会に出る少年だけど)というアーチストが主人公。大切なペットの死からの再起が描かれるのも似ている。
というかこの2冊は明らかにセットである。実はどちらもミニオンという猫の話。ミニオンは懇意にしていた児童書の編集者の猫。『わたしの猫、永遠』でいきなりこの話がラストで書かれているから戸惑ったが、連続してすぐこの本を読んだことで明らかにこの児童書と連携していることに気づいて納得する。