サブタイトルに『ラブレター代筆屋が詠む短歌』とある。だからこれは明らかに歌集である。だけどただの歌集ではない。まるで日記のような、エッセイのような軽さ。ストーリー性もあるから自伝風小説。そんな不思議な短歌集である。
最初は女性か、と思ったけど(本人は「僕」と言うし)途中からはっきり作者は男性だとわかる。隠していたわけではない。しかも45歳。中年男性。本名は小林慎太郎。
1ページに2作品。贅沢な紙面構成である。ページは余白だらけになる。1ページ1作という場面もある。だから140ページに200首。もちろんラブレターが中心になる。
愛とか恋とか、を扱う。ということで、最後に僕の選んだ1番のお気に入りを抜き出す。
胸の内伝えた恋は現実に秘めたる恋は思い出となる