背景は人間対AIによる世界戦争。アメリカ対アジア。AIによって核を落とされ廃墟と化したロサンゼルス。数百万の死者が出たアメリカは、AIを廃棄するが、AIとの共生を受け入れるNEWアジアとの大陸間戦争に突入。
お話を盛り込み過ぎて、ストーリーが単純なのにわかりにくい。大長編のダイジェスト版を見せられている気分。回想が随所に入るが、それもまるでフラッシュバック並みの早いテンポで入るから、あれっ、て感じ。アメリカは正義を振り翳して空爆を繰り返し、逃げ惑うアジアの民間人やAIを殺しまくる。まるでベトナム戦争の再来。正しいのはアメリカでアジア人やAIには人権はない。さらには核をロスに落としたのはAIではなく、、、
映画は派手な見せ場も満載でそれはいいが、なぜか手に汗握らない。少し引き気味の見せ方をするからだ。ギャレス監督は事態をクールに見つめる。潜入捜査員が敵側の女性と恋に落ち、子供が生まれる直前に予告もなく、味方が攻めてくるところから始まる。妻子を殺されて傷心の彼は使命を帯びて再び戦地にやって来る。お話は『地獄の黙示録』を思わせる。
それから、これは余談だが、東南アジアが舞台なのになぜか看板とかが日本語表記も多々あり。そんな『ブレードランナー』を思い出すテイストも、監督の趣味か。
ラストまで息もつかさぬ展開と、あっと驚くオチまで用意して2時間13分に収めた、と書きたいところだが、なんだかモタモタしていて混迷している。地味で渋めの絵作りはいいけど、ストーリー自体にはあまり深みはない。だが、これはメジャー映画で、娯楽アクション映画だから仕方ないだろう。まぁこのくらいの方がいいのかもしれない。(へんな政治的配慮をしているわけじゃないだろうが)すっきりしないのは作り手がただの娯楽映画にはしたくないからだろう。ということで、いろんなところでさまざまな思惑が交錯する映画なのである。