昨年上演され大評判になった作品をバージョンアップして再演する。今回はさらにワークショップメンバーでの公演フェーズⅡも含めて3パターンでの公演となる。簡単に再演をするわけではない。
オリジナルメンバーによるバージョンを見た。先週の男性版も見たかったが、旅行に行っていたから、見ることが出来なかった。1年を経ての再演だが、まるで初めて見るような新鮮さ。演出が大きく変わったわけではない。舞台美術の変更や、役者たちが役を自分のものにしたから、とかそういう問題でもない。確かに作品世界を自家薬籠中の物にしたことは間違いないだろう。前回以上に完成度は高い。自信を持って作品に取り組んでいる。だが、それだけではない。今の気分をこの芝居がリアルに描くからだ。
ここで一番大事なのは、作り手が慢心することなく、もう一度初めからこの作品と向き合ったことではないか。同じ空間(未来ワークスタジオ)を使い、さらに進化するために空間を作り直す。前回の対面舞台から今回はオーソドックスな配置で見せる。
天井には十字架。(いつもながらこの空間のこの天井の高さが生きる)戦場から遠く離れたここで、見守る。5人それぞれが自分の問題と向き合い、同時に同じ時間を過ごす日々が描かれていく。戦争が終わるまでの時間。前回以上に丁寧に作られた作品世界で、役者たちは彼女たちを生き生きと演じる。
世界はこんなにも悲惨なことで溢れているけど、彼女たちは生きなくてはならない。それは今を生きる我々も同じ。ウクライナの戦争は終わらない。もし、台湾でも同じようなことが起きたなら、という不安は常にある。この芝居が描く世界は明日の私たちかもしれない。そんなことを考えさせるリアルで同時代感覚を孕む作品にリライトされている。