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これは最悪だ。ツッコミどころ満載のヘボ映画。前作『恋のいばら』で見直した城定秀夫だが、これで見放す。こんな自主映画もどきの緩い映画を一応商業映画として作っていいのか。観客動員なんて考えないのか? 映画への愛とか、うさん臭いことはさすがに言わないけど、それにしてもこれは中途半端すぎる。こんなミニシアターは経営不可能。ファンタジーだと思って見たらいいのかもしれないが、なんかそこも中途半端。だから映画に乗れない。
主人公は知る人ぞ知る映画監督。B級ホラーを作っていたらしい。今は無一文のホームレス。地元に戻って来て、懐かしの名画座で働くことになる。こう書くといささかセンチメンタルな感じだが、導入からドタバタ。ありえない。宇野祥平のあのホームレスもあり得ないし。
いまおかしんじの脚本がまるでシリアスではない。コメディとも言えない。安物のピンク映画のような緩さ。それに安易に乗っかった城定秀夫。ラストの60周年企画なんてありえない。あれでは映画館も商店街も活性化は望めない。完成した新作映画も素人の自主映画。あんな映画誰も見ないだろう。借金の300万って制作費かな。これを公開してもさらに借金は増えてしまいそう。こんな感じで、お話にはまるでリアリティがないから乗れないのだ。
小出恵介復帰第一作なのに、なんだかなぁである。そこそこ豪華なキャストを揃えているのも虚しい。どうしてこんな映画を作ったのだろうか。不思議でならない。映画人が作った映画なのにまるで映画を知らない人が作ったみたいな映画だ。