この夏これが一番見たかった。封切り初日に見に行くつもりだった。そんなふうに予定を立てていたのだ。なのに、諸事情から、行けなくなった。がっかりした。でも、映画なのだからいつでも行けると思っていた。なのに、気付けばもう9月だった。あんまりである。どうしてこんなことになるのかはこの際おいておく。どうでもよろしい。ただ、一番を差し置いてつまらない映画を多々見たことは事実だ。この夏の始まりをこの映画にしたい、と思ったのに、この夏の終わりが、この映画になってしまった。でも、いい。2009年、夏の最後にいい思い出ができた。この映画を見てよかった。ありがとう!
これは細田守監督が、あの『時をかける少女』に続いて放つ新作である。もちろんあの映画は映画史上燦然と輝く大傑作だ。だから、あれを凌ぐとまでは思わなかった。でも、ほんの少し期待もした。だが、当然ながらこれはあの映画には到底及ばない。それでいいのだ。「史上最高」はなかなか更新されない方がいい。そのほうが夢がある。
いつまでたっても映画の話にはならない。なんだか語るのが惜しい。そんな気分なのだ。でも、話を始めよう。まず、おばあちゃんの90歳の誕生日を祝うためにみんなが信州の田舎の家を訪れる。一族が全員集合すると、なんと30人以上になる!これは凄いことだ。
夏休みに田舎に行く。しかも、大好きな先輩と一緒に、だ。彼女に誘われて夢の時間が始まるのである。こんな凄いことが人生にあっていいんだろうか、と思う。だが、それが彼に起きた現実だ。素晴らしい。ところが、すべて上手くいくとは限らない。上手い話にはオチがある。と、いうことで、主人公の少年ケンジのこの夢の旅は想像を絶することになる。いろんな意味で、だ。
現実の世界とバーチャルな世界が交錯し、そこで世界の平和を賭けた壮絶な戦いが描かれる。ネットワーク上の仮想都市での戦争が、信州上田の旧家で展開する。家族が力を合わせて見えない敵と戦う。これはそんなふうな、なんとも壮大なドラマなのである。なんでもない青春映画のようで、胸キュンのほろ苦い夏の物語で、なのにそれがタイトル通りの人類の存亡を賭けた戦争になる。その落差がひと所に集まるところにこの映画の魅力が生じるはずだったのだが、正直言うと全体のバランスはあまりよろしくはない。この映画が目指したノスタルジックな世界とハチャメチャな世界が渾然一体となるところに生じる不思議なリアリティーは、惜しいところで、うまくはいってない気がするのだ。
だが、僕はそんなこと、気にもしない。2時間至福の時間を送ることができたのだからそれだけで十分なのだ。見てる間、ずっと楽しかった。まるで自分もケンジと共にこの旅をしてきたみたいな気分だ。
これは夢のお話である。だが、その夢とは、空想の夢のことではない。夜、布団に入り寝て見る夢だ。話の辻褄なんかまるで合わないあのハチャメチャな夢のことである。ありえないことが続出するのに、誰も不思議に思わない「あれ」である。凄い夢を見て目覚めた後の心地よさ、それがこの映画にはある。だいたい映画というものが本来はそういうものだったのではなかったか。だから、この映画は映画自身の本来のあり方を思い出させてくれるそんな作品なのである。
これは細田守監督が、あの『時をかける少女』に続いて放つ新作である。もちろんあの映画は映画史上燦然と輝く大傑作だ。だから、あれを凌ぐとまでは思わなかった。でも、ほんの少し期待もした。だが、当然ながらこれはあの映画には到底及ばない。それでいいのだ。「史上最高」はなかなか更新されない方がいい。そのほうが夢がある。
いつまでたっても映画の話にはならない。なんだか語るのが惜しい。そんな気分なのだ。でも、話を始めよう。まず、おばあちゃんの90歳の誕生日を祝うためにみんなが信州の田舎の家を訪れる。一族が全員集合すると、なんと30人以上になる!これは凄いことだ。
夏休みに田舎に行く。しかも、大好きな先輩と一緒に、だ。彼女に誘われて夢の時間が始まるのである。こんな凄いことが人生にあっていいんだろうか、と思う。だが、それが彼に起きた現実だ。素晴らしい。ところが、すべて上手くいくとは限らない。上手い話にはオチがある。と、いうことで、主人公の少年ケンジのこの夢の旅は想像を絶することになる。いろんな意味で、だ。
現実の世界とバーチャルな世界が交錯し、そこで世界の平和を賭けた壮絶な戦いが描かれる。ネットワーク上の仮想都市での戦争が、信州上田の旧家で展開する。家族が力を合わせて見えない敵と戦う。これはそんなふうな、なんとも壮大なドラマなのである。なんでもない青春映画のようで、胸キュンのほろ苦い夏の物語で、なのにそれがタイトル通りの人類の存亡を賭けた戦争になる。その落差がひと所に集まるところにこの映画の魅力が生じるはずだったのだが、正直言うと全体のバランスはあまりよろしくはない。この映画が目指したノスタルジックな世界とハチャメチャな世界が渾然一体となるところに生じる不思議なリアリティーは、惜しいところで、うまくはいってない気がするのだ。
だが、僕はそんなこと、気にもしない。2時間至福の時間を送ることができたのだからそれだけで十分なのだ。見てる間、ずっと楽しかった。まるで自分もケンジと共にこの旅をしてきたみたいな気分だ。
これは夢のお話である。だが、その夢とは、空想の夢のことではない。夜、布団に入り寝て見る夢だ。話の辻褄なんかまるで合わないあのハチャメチャな夢のことである。ありえないことが続出するのに、誰も不思議に思わない「あれ」である。凄い夢を見て目覚めた後の心地よさ、それがこの映画にはある。だいたい映画というものが本来はそういうものだったのではなかったか。だから、この映画は映画自身の本来のあり方を思い出させてくれるそんな作品なのである。