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映画・演劇のレビュー

『鑑識 米沢守の事件簿』

2009-04-06 21:36:17 | 映画
 こういうプログラム・ピクチャーが作られなくなって久しい。昨年の大ヒット作『相棒』もTV局製作による鳴り物入り大作というよりも昔、東映が安易に作ってきたTVのヒット作の安直映画化作品という印象が強い。わかりやすく言うと『あぶない刑事』シリーズのようなものだ。昔は本当にこういうのがたくさん作られていた。そして、それは本当につまらない凡作で、2本立で、何の期待もしないで見る消化試合のような映画だった。スケールもTVと変わらない。もう絶滅品種の映画である。

 前作の大ヒットを受けて、またぞろで、こういうのを作るのがいかにも東映らしい。しかも、ただの続編ではなく、スピンオフときたもんだ。こういう低予算によるスケールダウン再生産はお手のものだろう。ほんとに東映らしさが前面に出たへなちょこ映画である。でも、これがそこそこヒットするのだから、世の中平和なものだ。映画とはとても思えないしろものに笑うしかない。こんなのを見てしまったのは、チケットがあったからに他ならないのだが、それでも実はけっこう楽しんで見た。久々に長谷部安春に劇場用映画を撮れるチャンスが巡ってきたことを喜びたい。前作も和泉聖治だったし、今の時代ふつうではメガホンは取れそうにない作家に順番が回ってくるのは嬉しい。次はぜひ村川透監督作品を見たい。

 さて、映画の中身だが、六角精児と萩原聖人によるバディームービーということになっている。普通なら萩原が主人公になるところを、当然六角演じる米沢守という地味な傍役を主人公とする。あくまでも普段は日のあたらない彼にスポットを当てるための企画だからだ。本編である『相棒』は水谷豊と寺脇康文によるバディーものだが、六角は水谷、萩原が寺脇のポジションを担う。でも、キャラの違いから微妙に重ならないポジショニングがおもしろい。

 ここまでスケールの小さい映画を作って、成功させるっていろんな意味で凄い。低予算でそこそこの興行が期待できるなんて、理想的な企画だ。経済効率を考えたなら、こんなうまい話はない。

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