往年の大スター、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが主演するロマンチックコメディ。60代に達したジョージ・クルーニーと50代半ばになるジュリア・ロバーツは犬猿の仲の元夫婦を演じる。だがふたりは娘の結婚式を阻止するため共同戦線を張る。
バリ島を舞台にしてふたりが縁りを戻すまで、という定番の展開をいかに心地よく見せるのかが監督の腕の見せ所。監督は『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』のオル・パーカー。安心して見ることができる娯楽映画だ。こんな作品すら自らプロデュースしてるジョージ・クルーニーは映画を愛しているのだなと改めて思う。軽いコメディだから、と手を抜くことはない。反対にこういう作品だからこそしっかり心地よい雰囲気をお客さんに届けるべきなのだと理解して心を砕いている。彼はそんなプロとして当たり前のことを大事にする。
安易な企画ではなく、ちゃんと観客に映画の夢を届けるのだ。
南の島バリ島で、現地の青年と恋に落ちた娘を現実に引き戻すためにやって来たふたりは反対に、自分たちが見失った夢を取り戻すことになる。
ふたりは現実に引きずられて離婚した。夢のような結婚が簡単にダメになったのはふたりの若さと現実の厳しさのせいだけではないはずだ。離婚から20年になる。ふたりをつなぐのは最愛の娘の存在だけ。彼女は大学を卒業後、これからキャリアをスタートさせるはずだったのに、卒業旅行のバリで恋に落ちて現地で結婚するという。だから式に参列して欲しいというまさかの連絡を受けて、慌ててやって来たふたりの珍道中が描かれる。
もう若くはないふたりのスターが無理して若作りするのではなく、今の自分たちをそのまま晒して、それでもちゃんと輝いているというのが凄い。さすが大スターだ。映画自体はたわいない映画だが、103分、気持ちのいい映画の旅ができる。それだけで充分だし、それが一番大事。