もうお定まりとなったヒットしたTVドラマの映画化作品というパターンなのだが、これは西谷弘監督である。よくある安易な作品とは一味違うものになっている。だが2時間14分は少し長い。しかも、それだけの尺ですら、すべては語りきれていない。
終盤の展開はちょっとあれでは納得がいかない。最終的な解決がないのは、しかたのないことだが、あれで彼が去っていくだけではなんだか中途半端な印象を与える。もう少しなんとかできなかったものか。やくざビジネスが変化してきて、介護を取り込み弱者からお金を奪う(ここはこれまでと同じか)。老人たちはただ成すすべもなく、されるがままになるのか。彼らを巻き込んだなんらかの解決の糸口をもう少し明確にして欲しかった気がする。そんなこんなで、いろいろ文句はあるのだが、それでも、こんなにも暗い話なのに、これだけの長尺を飽きさせることなく最後まで見せきるのは凄い。
やくざが老人の介護をして、彼らに生きがいを与えるというなんだか、嘘臭い話なのに、安易なファンタジーにすることなく、最後までハードなタッチを持続できたのは、主人公を演じた草なぎ剛の魅力ゆえであろう。強面を演じながら少しも違和感がない。内面の優しさが滲み出てくる。でも、それが嘘臭くはならないのだ。やくざとしてのリアルはちゃんと持続した上での、優しさの吐露である。彼がホームの老人たちに対して特別な優しさを示すのではない。自分の考えに則り、やくざとして、やるべきことをいい加減にはしない。でも、やくざである以前に人であることも忘れない。その辺のバランスが見事なのだ。だからリアリティーがあるのである。老人たちにおもねらないし、自分のスタイルを貫く。スーパーマンではないから、夢のような解決はない。どちらかというと、最後はカッコ悪い。すっきりしないラストの展開は彼がこの現実から逃げることで強引に映画を終わらせたからだ。だが、そのせいで甘い映画にはならないのである。これはヒットしたTV作品の映画化ではめずらしいことだ。
映画は老人たちの置かれた現状を正確に描く。容赦しない。そのうえで彼らの成すべきことに斬り込む。受け身ではない。やくざや、政治家の暴力に屈しない。そのとき彼らを助けるのが、主人公たちである。戦うべき敵が明確ではないのもいい。やくざや政治家と先には書いたが、そんな単純なものではない。主人公である彼は、やくざの側の人間であるにも関わらず、老人たちの側にたってしまい、組と敵対化する。だが、図式は、悪いやくざを倒す正義のやくざ、というわけではない。大体問題は勝ち負けではなく、もっと根深い。娯楽映画としてはこの問題をこれ以上深追い出来ない。そのぎりぎりに立ってこの映画は成立する。
終盤の展開はちょっとあれでは納得がいかない。最終的な解決がないのは、しかたのないことだが、あれで彼が去っていくだけではなんだか中途半端な印象を与える。もう少しなんとかできなかったものか。やくざビジネスが変化してきて、介護を取り込み弱者からお金を奪う(ここはこれまでと同じか)。老人たちはただ成すすべもなく、されるがままになるのか。彼らを巻き込んだなんらかの解決の糸口をもう少し明確にして欲しかった気がする。そんなこんなで、いろいろ文句はあるのだが、それでも、こんなにも暗い話なのに、これだけの長尺を飽きさせることなく最後まで見せきるのは凄い。
やくざが老人の介護をして、彼らに生きがいを与えるというなんだか、嘘臭い話なのに、安易なファンタジーにすることなく、最後までハードなタッチを持続できたのは、主人公を演じた草なぎ剛の魅力ゆえであろう。強面を演じながら少しも違和感がない。内面の優しさが滲み出てくる。でも、それが嘘臭くはならないのだ。やくざとしてのリアルはちゃんと持続した上での、優しさの吐露である。彼がホームの老人たちに対して特別な優しさを示すのではない。自分の考えに則り、やくざとして、やるべきことをいい加減にはしない。でも、やくざである以前に人であることも忘れない。その辺のバランスが見事なのだ。だからリアリティーがあるのである。老人たちにおもねらないし、自分のスタイルを貫く。スーパーマンではないから、夢のような解決はない。どちらかというと、最後はカッコ悪い。すっきりしないラストの展開は彼がこの現実から逃げることで強引に映画を終わらせたからだ。だが、そのせいで甘い映画にはならないのである。これはヒットしたTV作品の映画化ではめずらしいことだ。
映画は老人たちの置かれた現状を正確に描く。容赦しない。そのうえで彼らの成すべきことに斬り込む。受け身ではない。やくざや、政治家の暴力に屈しない。そのとき彼らを助けるのが、主人公たちである。戦うべき敵が明確ではないのもいい。やくざや政治家と先には書いたが、そんな単純なものではない。主人公である彼は、やくざの側の人間であるにも関わらず、老人たちの側にたってしまい、組と敵対化する。だが、図式は、悪いやくざを倒す正義のやくざ、というわけではない。大体問題は勝ち負けではなく、もっと根深い。娯楽映画としてはこの問題をこれ以上深追い出来ない。そのぎりぎりに立ってこの映画は成立する。