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映画・演劇のレビュー

『ゲット・アウト』

2017-11-02 21:56:26 | 映画

 

オープニングからドキドキさせられる。「なんだこれは! ホラー映画ですか? 」と思わせる。不意打ちを食らい「えっ!」と思う間もなく、そこでプロローグは終わり。主人公たちが登場し、すぐに本編に入っていく。タッチが変わり、ここからはゆっくりと、小さなお話が綴られることになる。

 

同棲している恋人たち。今日は彼女の実家に挨拶に行く日。でも、彼が黒人であるという事実を隠したままであること。リベラルな両親だから、大丈夫、と彼女は言う。でも、言えば言うほど、不安は高まる。

 

とてもうまい導入だ。そして、彼女の実家に着いてからの描写も、ぎこちない穏やかさの中、不気味な要因を随所に散りばめて、緊張はますます高まっていく。何かが必ず起きる予感。でも、そんな予感をどこまでも引っ張っていき、もしかしたら、取り越し苦労で、大丈夫なのではないか、なんて思わせるほど持続させる。(もちろん、そんなはずはないけど。)そんな状態のまま1時間以上を見せる。クライマックス直前にまで行く。

 

ネタバレしたところから、ラストまでは怒濤の展開である。でも、ありえないB級路線に転じる。きっとわざとしているのだろう。それまでのタッチと様変わりするのが凄い。でも、確信犯なのは冒頭の誘拐事件の描写でわかっている。

 

映画を見終えたときに、何かに似ているな、と思う。そうだ、これはあの『悪魔のいけにえ』のパターンではないか。要するにホラー映画なのである。変態家族や、地域ぐるみの狂気の集団と、たったひとりで戦う男、という図式。最初はとてもリアルな社会派映画のような展開だけど、終わってみると、アクションホラーって感じ。しかも、勧善懲悪。この何とも言いがたい居心地の悪さがなんだか、いい感じの映画だ。もちろんこれは現代のアメリカにおける黒人差別のお話でもある。当然。

 

 

 


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