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映画・演劇のレビュー

『ターミネーター4』

2009-06-30 23:34:00 | 映画
 まさか『ターミネーター』を見て泣かされるとは、思いもしなかった。映画の終盤スカイネットに単身乗り込み、カイル少年を助けるサイボーグ・ターミネーターであるマーカス。彼が自分はスカイネットに利用されていただけだと知り、それでも人間としての矜持を守り戦う姿に感動した。

 25年の歳月を経て再びターミネーターが今よみがえる。シリーズの最新作というよりも、未来を舞台にしたターミネーターサーガの第1章というべき、記念すべき作品だ。

 お話としては1,2作を引き継いでいるが(3は無視させる!)そんなことよりも、まず、アーノルド・シュワルツェネッガーがいないターミネーターなんてものを発想したことが驚きだ。彼がいないターミネーターなんて誰が想像したであろうか。それってスタローンがいないランボーやロッキーのようなものだ。しかるにこの作品はそんな無謀に挑戦し、成功する。

 冷静に考えてみれば、第1作の主人公はリンダ・ハミルトンのサラ・コナーであり、正義のヒーローはマイケル・ビーンのカイル・リースであったのだ。そんなことすら、忘れてしまうくらいにシュワルツネッガーの殺人マシーンは強烈だったということだ。彼なくしてターミネーターは成立しない。だが、今回彼は出ない。だいたいあれから25年である。歳をとったターミネーターなんてありえまい。(その代わり、なんと若いままの彼が、映画の終盤に特別出演する! あのショート・リリーフは衝撃的だ)

 主人公はジョン・コナー(クリスチャン・ベール)である。彼を中心にして、2018年の抵抗軍と機械との戦いが描かれる。シュワちゃんに変わる存在としてマーカス・ライト(サム・ワーシントン)を配して、2003年、審判の日直前から映画はスタートする。機械に負けてしまった人類は絶滅の危機にさらされる。そんな中抵抗軍としてレジスタンス活動を繰り広げる残された人間たち。彼らの最後の戦いをクライマックスにして、スカイネットに囚われた若き日のカイル・リースを取り戻すために、単身乗り込むジョン・コナーが描かれる。

 手に汗握る。すさまじいスケールの超大作だ。なのに、ストーリーがよくできているから、全くダレさせない。さらには、これだけの壮大なスケールのお話を1本の映画としてきちんとまとめ上げてしまう。3部作の第1章のはずなのに、ちゃんとこれだけで独立した作品として成立するように作られてあるのは驚きだ。最近のハリウッド映画は不必要な引き延ばしが横行し、話の途中で平気で終わらせる。その点この映画はきちんとした決着をつけて気持ちよく終わる。しかも2時間以内である。そんな当たり前のことがなんだかうれしい。

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