落合加依子の冒頭のエッセイがいい。まさかこんな巻頭エッセイから始まるなんて思いもしなかった。個人的なことがガッツリ書かれているけど、それがこの匿名の誰かの物語の見事な導入になる。
それだけにその後の100人の部屋の写真、エッセイがその先にあるはずの彼らの生活を想像させ、面白かった。これはただの「一人暮らしの100人の生活レポート」にとどまらない。ここには物語がある。
それはここに描かれるもの、以上のものを想起させる。ひとり2ページの世界から彼らの生活、人生を想う。エッセイはたった400字程度。部屋の全景の写真と、もう一枚はこだわりの空間(モノ)の2枚だけ。それと簡単なプロフィール。それだけ。だけどそれだけだからそこからいろんなことを想像してしまう。しかもそれが100人である。なんだかホッとする。まるで自宅に帰って来た気分だ。もちろんここは彼らの自宅だけど。