習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『さまよう刃』

2009-10-19 21:07:10 | 映画
 いくらなんでもここまで杜撰な捜査を今の日本の警察はしないんではないか?最近の映画は(といっても僕が見た映画だが)『ヘブンズ・ドア』といい『やがて復讐という名の雨』もそうだが、酷過ぎないか。もう少しリアルに警察を描いてくれなくては映画に集中できなくなる。

 まぁそれでも前半はまだそれなりに緊張感もあり悪くはなかった。音のない部分とか、なんでもない風景のインサートとか、効果的だと思ったが、寺尾聰が犯人の少年を殺したところから一気にテンションが落ちた。いくらなんでもあり得ない。

 百歩譲ってそこから始まるドラマとして見たらどうか、と思い、その後の展開を見守っていくのだが、ただひたすらバカな警察の描写に終始し、だんだん見る気も失せてくる。寺尾はいつまでたっても捕まらないし、もうひとりの犯人を彼が追いつめるでもない。では、警察の方はというと、こちらも間抜けでいつまでたっても犯人も捜せない。軽井沢の別荘地での部分はあまりにだるい。

 この状況下でこの映画は存在意義すら失うことになる。一体何がしたいのやら、誰にもわからない。それでも映画は続く。そしてクライマックス!川崎駅前での大捕り物となるのだが、日本はいつから無法地帯と化したのでしょうか? 猟銃を持った男がフラフラしてても捕まらないし、犯人も自由にここまでやって来れるし、共犯の少年なんて、簡単に何十人もの刑事をまくことができちゃう。こんなバカなストーリー展開をする映画をまともに見れる観客なんているのだろうか。呆れて席を立つ人が何人もいてもいいはずだが、行儀よく最後までみんな見てた。偉い。

 真面目に作ってるのはわかる。少年法に守られた子どもたちはどんな凶悪な犯罪を犯しても大丈夫なのだろう。だから、そこをを何とかしなくては被害者は浮かばれないというのもわかる。でも、この映画はそういうテーマに行きつく前で完全に空中分解してるよ。これでは映画としては成立しません。この映画こそ極刑に処せられるべきでしょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『その男静かな隣人』 | トップ | 『あの日、欲望の大地で』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。