習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『その男静かな隣人』

2009-10-19 20:39:12 | 映画
 監督のフランク・A・カペロはキアヌ・リーブス主演『コンスタンティン』の脚本家らしい。この映画が監督デビュー作。さもありなん、という映画だ。クリスチャン・スレーターがハゲで、チビで、ちょいデブのすぐ赤ら顔になりそうな男を演じる。わざとなのだが、とてもリアルだ。かなり役作りのため、頑張った。目立たないし、まるで風采の上がらない男で、会社では年下からもバカにされている。家に帰っても金魚くらいしか家族もいない。そんな40男がある日、キレてしまう。

 だが、彼が爆発する寸前に隣の男が先にキレてしまい、会社で乱射事件を起こすてしまう。結果的に同じように銃を持っていた彼が隣の同僚を殺すことで、なんと一躍ヒーローになる、というところから始まる不思議な物語。

 事件の翌日出社すると、平社員から副社長に大抜擢され、社長から目をかけられる。どこまでが本気でどこからが冗談なのかよくわからないまま、どんどんとんでもない方向に進んでいく。ラストは案の定、夢オチで、もう少しなんとか踏み止まって欲しかった。最初からバランスを崩しているし、話は破綻している。せめて『マルコビッチの穴』レベルまで行ってくれたらという期待もむなしく終わる。所詮劇場未公開作品か、なんて言わざる得ないのは悔しい。前半はかなりドキドキさせられたのだが。

 副社長がコピー取りとか、届け物の仕事とか、まるで役立たずのような扱いを受けることから始まり、事件によって全身麻痺になり動けなくなった秘書の女性の世話をするうちにあこがれだった彼女と恋人同士となる。夢が現実となっていくこととともに、この歪な現実にほころびが出来てくる。やがてどこかでカタストロフィがやってくる予感。いつそれがやってくるのかドキドキさせることがこの映画の見せ場になるはずなのだが、映画は終盤に向けて、あまり緊張させれない。ドラマの伏線の張り方や展開が乱雑だからだ。あまりになんでもありになり過ぎて、驚きがなくなってくる。もうどうでもして、と思う。結局は妄想にしか納めれないのでは情けない。

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