習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『彼が2度愛したS』

2008-11-28 23:14:39 | 映画
 こういうミステリータッチのドラマが、今時劇場公開されるってすごくめずらしいことだ。もしかしたらこれってかなり出来のいい作品ではないか、なんて期待して見たのだが、見終えてがっかりさせられた。なぜ、このレベルの映画がビデオスルーではなく、劇場公開されてしまうのか、わけがわからない。

 ヒュー・ジャックマンとユアン・マクレガー主演なんていう地味なキャスティングだし、タイトル・ロールのSを演じる女優は新人。これでこの程度の面白さではお話にはならない。百歩譲ってこれがロードショー公開されてもいいが、せめてホクテンザで公開するくらいの謙虚さが欲しい。

 今、アメリカ映画は(ヨーロッパ映画もそうだが)日本では商品になりにくくなっている。この映画を上映していた梅田ブルク7の現在のラインナップを見ても一目瞭然だ。上映されている作品の8割が日本映画である。かってブロックブッキングが敷かれていた時代には考えられなかったことである。日本人がこんなにも日本映画を見る時代が来るなんて、思いもしなかった。お隣の韓国に於ける自国映画のシェアの高さに感心していたのは、ほんの数年前の話だというのに、今ではそれ以上のシェアを誇るようになってしまった。

 とはいえ、日本映画の作品レベルが向上したなんて話は聞かない。それどころか、レベルは一段と落ちているくらいではないか。TV局がどんどん映画を作る。大量のTVスポットを投入した大宣伝によってヒット作を連発したことが原因である。なんだかつまらない話だ。

 され、この映画である。この地味な映画は見てる分にはそれなりに楽しめるのだが、それだけだ。秘密クラブに誘われた会計士。徐々にその深みに嵌っていくのだが。そこには仕組まれた罠が・・・なんだか、いかにもな話だ。昔の日活ロマンポルノを髣髴させる話ではないか。

 確かに、雰囲気はある。それに丁寧な映画だ。だが、それだけだ。ラストのオチも弱すぎて「えっ」って感じ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 演劇ユニット 風『戦争プラ... | トップ | 『チーム・バチスタの栄光』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。