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昨年に引き続き、今年も春演に参加されたアートひかりによる公演。今回は短編と中編の2本立てである。幕間と公演後にはそれぞれの作品のアフタートークがある。演出の仲田さんとゲストによる作品解題。作者や翻訳家を呼んで一緒に作品自体を語る。(残念だが今回小池美重さんは事情があって来阪が出来なかったけど)
『FROM2011』は、「ごめんなさい、」「大丈夫だから。」を繰り返すラストシーンがインパクト大。震災後の小池さんの実体験をベースにしたドキュメンタリー演劇。タロット占いからスタートして、炊飯器に至る短いエピソードの羅列。震災後の被災地避難所のタロットは、どういう占い結果だったのかはわからないけど、彼女は大丈夫と言う。得田晃子渾身の一人芝居。
『ねずみ狩り』は、ふたり芝居。男女がねずみをライフル銃で撃ち殺すシーンから始まる。ラストはすべてを脱ぎ去って裸になったふたり。ここで終わったと思ったが、さらにはその後に衝撃的な幕切れが待つ。オーストリアの作家ペーター・トゥリー二が70年代に書いた戯曲。それを大阪を舞台にして今の時間にして翻案。都会のゴミ捨て場に車を乗り付けてやって来たふたりの男女。お互いが持っているものを捨てていく。やがて着ているものも脱ぎ去るという行為の意味付けは簡単だ。だけどここで必要なのは意味ではない。そこにある暴力だ。破壊行為は自分たちに帰ってくる。撃ち捨てられたふたりの遺体。
この2本の芝居を敢えてセットにして見せることを通して演出の仲田恭子が突きつける今を僕たちもしっかり見ていていたい。