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サブタイトルがこの映画を実に的確に示している。こちらを邦題にできたならいいのだが、今の時代はこういう映画のタイトルは受け付けない。仕方がないから、原題通りの『ペーパーボーイ』となる。まぁ、これはこれで的確なのだが。
真夏のお話だ。高校生の男子が、田舎町で起こった、とある事件の取材に同行することになる。犯人の無実を証明するため2人の新聞記者がやってくる。そのひとりが彼の兄貴だ。少年は運転手として、取材に協力する。犯人として逮捕された男の恋人がやってくる。恋人と言っても彼が逮捕されてから、文通によって、親しくなった女だ。主人公はこの4人。それと、ジョン・キューザック演じる犯人。(こいつが実に気味が悪い。ジョン・キューザックがこんな役を演じるなんて驚く。しかも、上手い!)まだ、この時点では容疑者だが。
まるで、どんな映画なのかも知らずに見始めた。やがて、なるほどこれはミステリなのか、と思い見たのだが、見終えて不満が残る。なんだか、納得が行かない。だが、やがて気付く。これはもうひとつの『おもいでの夏』なのだと。これはひとりの少年が大人になる夏を描くドラマなのだ。年上の女に心惹かれて、若さゆえの正義感や激情から、自分を見失う。ただ、少年の成長物語としては、これはあまりに苦いお話で、刺激的すぎる。事件は猟奇的で、犯人はハンニバルみたいに不気味だ。
終盤、こういう男を、野放しにする。そして、不幸な事件が起こる。少年にはわからないいろんなことが、大人の世界にはある。無邪気な少年ではない。どちらかというと、ちょっとすれた感じなのだ。水泳部のエースだったのに、ドロップアウトして、自分を持て余していた。そんな彼が背伸びして新聞記者のまねごとをする。手痛いしっぺ返しを受ける。
青春映画という枠組みに安住するのではなく、そこから大きく逸脱する構造のなかから、最終的にはこれは「青春映画」という枠組みに収まる映画なのだ、という事実に至る。大切なのは、ジャンルではないのだけれど、ジャンルを認識したとき、この作品の目指すものがようやく明確になった気がしたのだ。痛ましい話だが、チクチクとしたざわつきとともに、心に沁みた。
真夏のお話だ。高校生の男子が、田舎町で起こった、とある事件の取材に同行することになる。犯人の無実を証明するため2人の新聞記者がやってくる。そのひとりが彼の兄貴だ。少年は運転手として、取材に協力する。犯人として逮捕された男の恋人がやってくる。恋人と言っても彼が逮捕されてから、文通によって、親しくなった女だ。主人公はこの4人。それと、ジョン・キューザック演じる犯人。(こいつが実に気味が悪い。ジョン・キューザックがこんな役を演じるなんて驚く。しかも、上手い!)まだ、この時点では容疑者だが。
まるで、どんな映画なのかも知らずに見始めた。やがて、なるほどこれはミステリなのか、と思い見たのだが、見終えて不満が残る。なんだか、納得が行かない。だが、やがて気付く。これはもうひとつの『おもいでの夏』なのだと。これはひとりの少年が大人になる夏を描くドラマなのだ。年上の女に心惹かれて、若さゆえの正義感や激情から、自分を見失う。ただ、少年の成長物語としては、これはあまりに苦いお話で、刺激的すぎる。事件は猟奇的で、犯人はハンニバルみたいに不気味だ。
終盤、こういう男を、野放しにする。そして、不幸な事件が起こる。少年にはわからないいろんなことが、大人の世界にはある。無邪気な少年ではない。どちらかというと、ちょっとすれた感じなのだ。水泳部のエースだったのに、ドロップアウトして、自分を持て余していた。そんな彼が背伸びして新聞記者のまねごとをする。手痛いしっぺ返しを受ける。
青春映画という枠組みに安住するのではなく、そこから大きく逸脱する構造のなかから、最終的にはこれは「青春映画」という枠組みに収まる映画なのだ、という事実に至る。大切なのは、ジャンルではないのだけれど、ジャンルを認識したとき、この作品の目指すものがようやく明確になった気がしたのだ。痛ましい話だが、チクチクとしたざわつきとともに、心に沁みた。