2013年公開作品だ。自主映画として撮られた。150万の予算だったらしい。でも、大胆で凄い映画だ。こういう映画がひっそりと作られている。そしてそれなりにちゃんと評価されている。(ぴあFFで入賞している)日本映画の裾野も広い。
これは毒だらけの映画だ。見ていて気分が悪くなる。だけど、これは誰もが考えなかった展開だ。奇抜だというわけではない。それどころかお話自体はよくある設定だ。だけど、キャラクターと、ほんの少しの展開の意外性が映画をスリリングにする。低予算映画だけど、丁寧に作られているから、緊張が持続する。見ていて嫌にはならないし、最後まで飽きささない。
渡部亮平監督作品。撮影当時24歳だったらしい。調べると昨年見た『哀愁しんでれら』の監督だった。確かにあの映画も怖い映画だった。でも、このデビュー作のほうがもっと凄い。あの映画は商業映画の制約が彼の自由を奪ったからあのレベルになっただけなのか。毒は抑えられていた気がする。
いじめられていたふたりの少女が仲よくなる。虐めていた少女が行方不明になった後のお話。ふたりの友情物語のように思わせて不穏な空気はずっと流れ続ける。何かがおかしい。優しすぎるかわいい女の子と、彼女に声を掛けられるまでひとりぼっちだった不細工な女の子。どうして自分なんかに優しくしてくれるのか、わからない。だけど、彼女はすべてを受け止めてくれる。警戒しながらも、少しずつ歩み寄る。とうぜん、それだけで終わるはずもない。恐ろしい結末に向けて少しずつ、ふたりの関係は動き出す。昨年の『ひらいて』と少し似ているな、と思う。でも、これは青春映画というよりもホラーである。この怖さがたまらない。
だけど、ラストのオチがいささか弱い。こんなことをして、いったいどう収めるのか、と思わされたのに、それで終わり?って感じ。狂気はどういうふうに伝播していくのか。ふたりの少女たちがどうなるのか、そこをもっと突き詰めて欲しかった。あの数学の非常勤講師との関係もリアルではない。怒濤の終盤で腰砕けしているのが残念だ。