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村上春樹「ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集」
2015年11月30日 / 本
村上春樹の熱心な読み手なら、次のような目次を眺めるだけで、この本がどれだけ面白くて、楽しい時間を過ごせるか容易に想像できるはずです。
チャールズ河畔の小径 ボストン1
緑の苔と温泉のあるところ アイスランド
おいしいものが食べたい オレゴン州ポートランド メイン州ポートランド
懐かしいふたつの島で ミコノス島 スペッツェス島
もしタイムマシーンがあったなら ニューヨークのジャズクラブ
シベリウスとカウリスマキを訪ねて フィンランド
大いなるメコン川の畔で ルアンプラバン(ラオス)
野球と鯨とドーナッツ ボストン2
白い道と赤いワイン トスカナ(イタリア)
漱石からくまモンまで 熊本県(日本)
私は随分前から村上春樹の小説を手に取ることはなくなっているのですが、小説以外の書き物である音楽を巡る小話、旅行記、ジョギングもの、オリンピックなどのイベントの取材・体験記、アメリカの小説・映画・雑誌記事・ゴシップの紹介などの面白さは絶対。大満足請け合いの鉄板の読み物です。
軽さとミーハー心を全面に出しながらも、しっかりと物事の本質を見ている視点は確かです。
この紀行文集は、以前滞在した場所を再訪した際の記録が多めに収められています。その土地への愛情がユニークな村上節でたっぷりと語られる。
行ったことのない土地、残念ながらもう行くことはないだろう土地ばかりなのですが、読み手までその国、その地方のファンにさせてくれます。
いろんな魅力はありますが、何といっても気軽に読めて幸せな気分にさせてくれる。ほとんどはJALのファーストクラス機内誌(そんなものがあるんですね)で発表されたものだそうですが、ファーストクラスに座って、市価1万円近いボトルの赤ワインを傾けながら、こんな書き物を読めたらさぞかしゴージャスな気分に浸れるでしょうね(ウトウトして機内誌を床に落としても、CAの方がそっと拾ってくれそうです)。私は主に家と満員電車の中で読みましたが、それでもとても幸せな気分になれました。
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