白石一文「神秘」

 

 先日、みなとみらいで用事があった際、久しぶりにランドマークプラザ5階にある「くまざわ書店」に寄りました。ここは以前、手描きポップで推薦してある小説を手に取っていた懐かしい本屋です。

 本屋さん、本好きの熱い想いがたっぷりと綴られた手描きポップ、文庫コーナーにまだありました。仕事終わりの高揚感もあり、とりあえず手描きものは全てを会計に持っていってしまいました。

 そして、最近はまっている激安スーパー「ロピア」のセンター南店に行った際、駅隣接の「有隣堂」にもありました手描きポップ。こちらも全てお買い上げ。その結果、部屋に日本の小説を中心に15冊の文庫本が積み上がりました。

 さてどれから読むか。15冊の中でこれまで本の題名をどこかで見た記憶があるのは、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」だけです。まずはこれにしました。いやあ、滅茶苦茶に面白かったです。最後は、ビートルズのアビーロードやポール・マッカートニーのライブ盤で「ゴールデンスランバー」やメドレーを聴きながら、しみじみと興奮しながら読み終えました。これはくまざわ書店の推薦本です。さすが、熊沢さん。

 次はどうするか。小説は読むと決めた後はなるべく予備知識なしに読んで展開に驚きたいので、購入後は帯などは全て外してしまいます。そうすると本屋でちらっとポップを読んだことは忘れているので、一体、どういう本なのか全く分かりません。むしろ題名だけでは読みたくない、面白くなさそうな本ばかりです。

 唯一、上下2冊に分かれていて一番ページ数の多い白石一文の「神秘」にしました。神秘なんて題名の小説は、手描きポップで知らなければ絶対に読まないと思います。

 ちょっと言葉にならないくらい胸に沁みる本です。主人公は54歳、私ももう老齢の入り口なのでかなり共感、感情移入して読めました。面白くて、哲学的で、ワクワクして、神秘的で驚きです。こんなに真面目に丁寧に読んだ本は久しぶりです。最近は時間優先で面白くない部分はかなり乱暴に斜め読みで飛ばすのですが、最初から最後まで、何度かは少し戻ってじっくり読みました。
 あやうくこんなに面白い本を読まずに死ぬところでした。こちらは有隣堂の推薦本、ユウリンさん、ありがとうございます。

 本を読む喜び、幸せ。アマゾンも便利なのですが、こういう本屋に行きたいです。単なるアマゾンのための陳列店ではない本好きによる本好きのための本屋さん。
 これから何か月か、年末年始を挟んで楽しい時間を過ごせそうです。3冊目は、容疑者X依頼久しぶりとなる東野圭吾の「聖女の救済」を今日から読み始めました。まだ50ページちょっとですが、有難いことに幸せな時間は続きます。


(後日分かったこと これらの手描きポップは書店のオリジナルではなく、出版社提供(?)の宣伝グッズでした。)



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