風はまだまだ冷たい、 春は戸惑いながらやってくるようだ。 百花の魁。 梅の香に包まれて、 万葉の歌人たちに思いを馳せる。 白梅、紅梅、八重や枝垂れなど雅に咲き乱れて。
大宮梅まつりでめずらしい品種をみつけた。 すでに 花は終わりと見まがうばかり。 吸い寄せられるように近づく。
華やぎをよそに静かな佇まいのこれは…
花弁が退化し、 雌蘂や雄蘂だけが咲く、 茶筅梅(チャセンバイ)というそうだ。 なるほど茶筅の先に見えた。 しかもかなり使いこんでいる。 寂びた色も奥ゆかしいが、 茶目っ気たっぷりに意表をついて驚かせる。 地味な花を見落とさないでよかった… 写真を見ながら心底そう思う。
園内は 白加賀が多い。 45品種650本もあるらしい。 「豊後」 「八重野梅」ヤエノバイ、 青みがかった「月の桂」、紅白染め分けの「春日野」、「遠州糸」。 ずばり 「見驚」ケンキョウなどというのもある。
古今集から
色よりも香こそあはれとおもほゆれ たが袖ふれしやどの梅ぞも よみ人しらず
君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をもしる人ぞしる 紀友則
やはり 紅梅… 逆光の中で 胸が痛むほど美しかった。
陶器祭りも賑わった。 ことしは 湯冷ましをゲット。