ドアの向こう

日々のメモ書き 

小磯記念美術館

2009-09-28 | アートな時間
小磯記念美術館エントランス

  神戸最終日 9月26日 小磯記念美術館
              六甲ライナー 「アイランド北口」下車

 特別展 亀高文子とその周辺
 明治末、日本洋画界の草創期から、大正、昭和にかけて活躍した亀高文子(1886~1977)。 父、渡辺豊洲は横浜の外国商館で外国人向けの絵画を描いていた。 美術家として果たせなかった夢を娘の文子に託す。 文子は創立間もない女子美に学び卒業。小杉未醒の紹介で中村不折にデッサンの指導を受ける。
 結婚後間もなく夫と死別、 苦難に遭いながら家族を支え官展への出品を続ける。与謝野晶子らが創立した朱葉会に属し、赤艸社女子絵画研究所創設。(パンフレットより抜粋)
  
  「楽譜」。 「ダリア」 「けしの花」などおしゃれで愉しげ、 あたたかな優しい色遣い。 雑誌 「少女画報」「新少女」「子供之友」の挿絵など 文章も惹かれる。 
  女性画家の先駆者を ここで初めて知った。
  
                    -☆-

 同時開催 「小磯良平作品選Ⅲ」 
 画伯お気に入りの 「二人の少女」など40点。  ・少女像(人物B) ・花(アネモネ) ・縦長キャンバスに描いた 「卓上静物」 (ロブスター 洋なし など) ・花のあるベランダ風景 ・かぼちゃのある静物(俯瞰する机、 グラス、ガラス器の卵、リュート、白布) ・「K婦人像」や今回の展示にはなかった 「斉唱」など  静かに平和について考えさせる。 

  楽しみは 中庭に移築、復元されたアトリエ。 葡萄棚と薬草が迎える。北窓の採光、 射し込む穏やかなひかり。
  作品にしばしば登場するフラスコ、グラス、 モダンでクラシックな舶来の家具。 鏡台(半円型の鏡)、 リュート。 パラソル、チェックの膝掛け、獣足のテーブルなど。 作品の手がかりとなるギリシャのレリーフ、 お馴染みの時計。 マネの絵。 画集など多数の蔵書が画家を支える。

  内部は撮影禁止。 パレットはその都度拭きとらず、 古い絵の具のうえに次々に新しい絵の具を出していたと説明を受ける。 画風から想像も出来ないことだった。 絵の具が荒々しく固まって、 さながら噴火口をみせて山々が列なる。
 壁、 窓枠、 ドアは白っぽいやわらかなグリーン。 作品の随所にも見られるこの色は作品を一層モダンに魅せる。 画集をみると、魚(さより)の皿に、 琺瑯水差の影やK婦人の椅子に載っている。
 グリーン・グレイはだいすきな色で、 我が日記の背景の色。 蛙もよく使うが濁りやすいのでむずかしい色である。 
 時間がなくてハイビジョンギャラリーを見逃したようだ。

少女像(人物B) ききょう

   記念に買った絵はがきは薬用植物画
     花以外にも実や根を描いて 植物の四季がわかる。 

 美術館の裏にまわると 薄と紅紫のマメ科の花が競い合い群れている。 葉も花も山萩より大きめで枝垂れない。 これが筑紫萩とわかったのは帰ってから。 風にそよいでうまく写らなかった。

        美術館横の筑紫萩  

  
  弦楽四重奏の生演奏があり、 館内にここちよく響いていた。 
   気品高い作品と 美しい調べ… 
     至福のときを過ごした。

 

 

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6 コメント

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小磯美術館 (sora)
2009-09-29 00:51:25
行って見たいところです。
私の知っている方で画学生の時代に「小磯先生に褒められた」と、さり気なくおっしゃっていました。
挿絵などで拝見する絵は、モダンな感覚で優しい女性像のタッチが気になっていました。
また、先日まとめ上げた会報には、東京の特別展で、昔見た「着物の女」に半世紀近く経って会えたことで感激したというエッセイを寄せて下さった、長老の会員がおいででした。
私もそれを知りたくて、小磯美術館の検索をして初めてその作品を見ることが出来ました。このような美術館にいつか訪れてみたいものだとその時思ったばかりでしたのよ。
亀高文子という画家は記憶にないのに、その作品は見たことがあるような気がしております。
よいご旅行をなさったのですね。
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至福の時 (ふくら雀)
2009-09-29 13:41:51
ブログの空きはお出かけだったのですね。
残念ながら「斉唱」にはお目にかかれなかったようのですが、万歳!と叫びたいほどの蛙さんの感動が伝わります。
小磯良平作品は蛙さんにとっては、直接に語りかける技法が多かったことでしょう。お勉強の旅でしたか。きっと画きたい意欲も湧いてきたことでしょう。

それにしても、あの気品溢れる絵の楽屋では、パレット上に猛々しい噴火口が連なっていたとは、想像を絶します。
素敵な秋のひとときを過ごされたことを心かお喜びします。
いつかは行ってみたいところがまた一つできました。ありがとうございました。
 
返信する
小磯芸術 ()
2009-09-29 15:50:18
soraさん ありがとうございます。
「着物の女」タイトルだけではどの絵か分かりませんが東京美術学校在学中に帝展特選となった「T嬢の像」を思い浮かべます。
 この爽やかな絵は、絹地の光沢や明暗、柄など卓抜した表現で、23歳の若者の絵とは思えない程完成され気品があります。

 亀高文子の絵は何処かなつかしく、やはり以前見たような気がします。晩年は花の絵が多く、デフォルメされて明るい良い作品で、きっとsoraさんもお気に入りでしょう。写真で拝見すると凛としてとても美しい方でした。
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技の数々 ()
2009-09-29 16:02:12
思わぬことで神戸に行きました。
ルミナス2で明石海峡周遊のチャンスを得たのです。ありがたいことです。
 
 アトリエの床にも格闘の跡が残っています。
絵の具は飛び散り引きずられ、パレット同様こちらも絵、作品と思われます。六甲の秋の風は意欲をそそります。刺激を受けてとても好い時間でした。
ありがとうございます。
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小磯作品 (sora)
2009-09-29 22:32:30
昔に見て感動した作品に再び会えた喜びが伝わって参りまして、その作品に興味を持ちました。「着物の女」は、下記のアドレスをクリックしてみてください。

http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/koisogallery/koiso/works.html

彼の作品は明るい洋風な印象でしたのに…写真でしか観ていませんが「着物の女」は、それぞれのマテリアルが判ります。若いころの作品なんですね。力を感じました。直に見たいと思いました。
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清澄な香気 ()
2009-09-30 14:52:03
 soraさん ありがとうございます。 思い出せなかったけれど? この絵はよく覚えています。そして「T嬢の像」は1926年23歳で(特選の絵をこちらからご覧ください)http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/0b/684b6aa12b02e21c5d63d333be9ef8ba.jpg

その10年後「着物の女」、さらに熟達し間然するところなき作品ですね。ありがとうございます。本物を観にいらしてください。

 
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