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春風に誘われお雛さまを見にいった。 遠山家の雛段飾り(家庭画報 2007年3月号に掲載)は、 大広間に江戸の段飾りと、 京阪地方の御殿飾りを展示している。
美術館ではコレクションの大きな享保雛(上写真 江戸中期~後期、 高さ 男雛31.5㎝ 女雛 25.0㎝)が好き、面長、能面のような顔も気品がある。
そのほか象牙雛 (男雛の高さ8.3㎝ 頭の材は象牙、 衣裳は上質の金襴と非常に贅沢なものである。 江戸中期、雛人形は豪華で大型化、華美に走る傾向を禁止した)、高さ2~3㎝の芥子雛、 現代の雛人形の元となった古今雛、 丸顔に引目鉤鼻の愛らしい次郎左衛門雛(立雛)、 雛道具、 犬筥イヌハコ(雌雄一対 中に安産守りや紙などを入れ産室に飾る。産後はこどもの枕元に置きお守りとした) など。
こちらで 雛人形ほか日本人形の数々が御覧になれます。
ねらいは もう一つ。
記念館の邸宅は埼玉県比企郡川島町出身である日興證券の創立者・遠山元一(明治23年~昭和47年)が幼少時に没落した生家を再興し、苦労した母・美以の住まいとするために建てられた。
伝統的な日本建築にふれ、 心が落ちつく。 部屋の細部はもちろんのこと、 灯籠、 濡れ縁の遊び、 飛び石の配置、 蓮子窓のあかり、 枝折り戸など。 松籟を聴き、 壁や障子に揺れる翳を追った。
懐かしさに 胸が苦しくなる。 当然、 これほど立派な家ではなかったが、 暗がりから、 ひょいと祖母や父が出てきそうなのだ。
遠山記念美術館は 30年以上まえ、ワイエスの絵に始めて出会ったところ。 中南米の染織をみたり、 義母や母をつれ幾度も訪ねた。
ラグタイムさんのように深い想いを感じ取れず、
ただただ、すごいなあを連発して帰ってきてしまいました。
でも、とってもゆったりと優しい気分になれたのは、
遠山元一氏の母への想いを感じたからかなあと思っています。
私たちは甘酒。まろやかなやさしさ、これは氏のお母様への思いだろうとしみじみいただきました。そのおり音楽評論家の遠山一行氏はご子息と伺い、嬉しきことふたつになりました。
季節を変え訪れたいですね。