森林浴なら、ありふれている。
森に入ったら、森に融けいることだ。
そのために、何をするかというと、忘れることから始める。
つま先から放出した煩悩が、地面に吸い込まれていく。

握ったままの手を解いて、指の間から、爪と皮膚の隙間から
憎らしさと愛しさを両方とも振り落とす。
放たれたものたちは、壁のない森の空間へと散ってゆく。
森は、森そのものが瞑想している。
人間の思いから生ずる邪悪を受けつけず、透明というバリアを張って
開くことで閉じている世界だ。
そういえば、おもしろい話をカメがしてくれた。
「幽霊は壁を通り抜けて向こうへ行くことはできないんだよ、
心霊写真のほとんどは電磁波を捉えたものだね、モヤモヤの正体は
それだよ。で、だとすれば幽霊は重い。
ニュートリノより粗くて重いんだね。
ニュートリノならば、楽々と壁をつきぬけ、大地を突き抜けて地球の
裏側へと貫いていくし、第一撮影できないんだ。衝突の痕跡で検証
するしかないんだ。幽霊の話も科学的にみると面白いことがわかるな。」
そうか、だとすれば情念の塊である幽霊は、雑である。
細やかではないという印象。グジグジと忘れられず固まっていて
執念深い。水を含んだ綿のイメージだ。
瞑想する森には、幽霊はいられない。
だから、ここは清々しい。
森に入ったら、森に融けいることだ。
そのために、何をするかというと、忘れることから始める。
つま先から放出した煩悩が、地面に吸い込まれていく。

握ったままの手を解いて、指の間から、爪と皮膚の隙間から
憎らしさと愛しさを両方とも振り落とす。
放たれたものたちは、壁のない森の空間へと散ってゆく。
森は、森そのものが瞑想している。
人間の思いから生ずる邪悪を受けつけず、透明というバリアを張って
開くことで閉じている世界だ。
そういえば、おもしろい話をカメがしてくれた。
「幽霊は壁を通り抜けて向こうへ行くことはできないんだよ、
心霊写真のほとんどは電磁波を捉えたものだね、モヤモヤの正体は
それだよ。で、だとすれば幽霊は重い。
ニュートリノより粗くて重いんだね。
ニュートリノならば、楽々と壁をつきぬけ、大地を突き抜けて地球の
裏側へと貫いていくし、第一撮影できないんだ。衝突の痕跡で検証
するしかないんだ。幽霊の話も科学的にみると面白いことがわかるな。」
そうか、だとすれば情念の塊である幽霊は、雑である。
細やかではないという印象。グジグジと忘れられず固まっていて
執念深い。水を含んだ綿のイメージだ。
瞑想する森には、幽霊はいられない。
だから、ここは清々しい。