想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

瞑想する森

2010-08-05 13:37:09 | Weblog
森林浴なら、ありふれている。

森に入ったら、森に融けいることだ。
そのために、何をするかというと、忘れることから始める。

つま先から放出した煩悩が、地面に吸い込まれていく。



握ったままの手を解いて、指の間から、爪と皮膚の隙間から
憎らしさと愛しさを両方とも振り落とす。

放たれたものたちは、壁のない森の空間へと散ってゆく。
森は、森そのものが瞑想している。
人間の思いから生ずる邪悪を受けつけず、透明というバリアを張って
開くことで閉じている世界だ。

そういえば、おもしろい話をカメがしてくれた。
「幽霊は壁を通り抜けて向こうへ行くことはできないんだよ、
心霊写真のほとんどは電磁波を捉えたものだね、モヤモヤの正体は
それだよ。で、だとすれば幽霊は重い。
ニュートリノより粗くて重いんだね。
ニュートリノならば、楽々と壁をつきぬけ、大地を突き抜けて地球の
裏側へと貫いていくし、第一撮影できないんだ。衝突の痕跡で検証
するしかないんだ。幽霊の話も科学的にみると面白いことがわかるな。」

そうか、だとすれば情念の塊である幽霊は、雑である。
細やかではないという印象。グジグジと忘れられず固まっていて
執念深い。水を含んだ綿のイメージだ。

瞑想する森には、幽霊はいられない。
だから、ここは清々しい。


コメント
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