心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

夏蝉と広辞苑

2008-07-13 10:18:12 | Weblog
 きのうは帰宅途上で夕立ちに遭遇してたいへんな目にあいましたが、きょう日曜日の朝は、何事もなかったかのような顔をして、夏空が私たちを天上から眺めておいでです。それに応えるかのように、私の街では本日、蝉の初鳴きです。愛犬ゴンタと散歩しているときには、弱弱しかったのですが、この時間帯にもなると俄然元気です。これから当分、夏蝉の大合唱で目覚めることになりそうです。
 きのうセッティングした、広辞苑第6版DVD版で「蝉」を検索すると、「カメムシ目セミ科の昆虫の総称。頭部は低い三角形で、両側に丸い複眼があり、その間に3個の赤い単眼がある。腹面の長い吻で樹液を吸う。雄は腹面に発音器を持ち、鳴く。雌は樹皮に産卵、孵化ふかした幼虫は、地中に入って植物の根から養分を吸収し、数年かかって成虫になる」とあります。数年間も地中で過ごし、陽の光に戸惑いながらも地上に這い出し、草木の上で脱皮して成虫になる。何を感じ何を思い生きてきたのか。地上に出るや、目一杯の力を振り絞って鳴き続ける。何を思う....。ひ弱な人間に比べてよほど根性が座っているのかもしれません。
 そんな蝉も、日本の夏の風物詩。広辞苑でさらに蝉を追っていくと、蝉時雨、蝉籠、蝉衣、蝉口、蝉声、蝉海老、蝉折、蝉茸といった言葉が出てきます。慣用句検索をすると「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」(口に出す者よりも、口に出さない者の方がかえって心中の思いが切であるの意)、「蛍二十日に蝉三日」(盛りの短いことのたとえ)の2句が登場します。蛍との対比がおもしろく、しかし蘊蓄のある慣用句でした。
 パソコン上での広辞苑とのお付き合いは、第5版からです。なかなか重宝しています。日々、新しい出会いがありますから、ほぼ毎日使っています。今回の第6版は、旧版より1万語あまり増えて24万語を収録。言葉の意味の移り変わりに即して全項目を書き改めたそうです。図版を含む全データをハードディスクにインストールすることで、使い勝手が向上しました。最後に、「夏」を検索してみると、「(朝鮮語のnierym(夏)、満州語のniyengniyeri(春)などアルタイ諸語で「若い」「新鮮な」の原義の語と同源か。アツ(暑)・ナル(生)・ネツ(熱の字音)からなどともいう)四季の一つ」とあります。なにやら躍動感を思わせますが、それは長い夏休みを喜ぶ子供の気分。歳を重ねると、夏バテ防止策に関心がむいてしまいます。でも、こうして広辞苑と遊んでいると、日常、何気なく使う言葉の奥深さを思います。と同時に、言葉も生きていることを実感します。
 きょうは、本田美奈子さんの「AVE MARIA」を聴きながらのブログ更新でした。
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