心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ブータン王国と「幸福度」

2013-11-24 09:59:34 | 愛犬ゴンタ

  きのう23日は、愛犬ゴンタの誕生日でした。14歳になります。ヒトの年齢に換算すると83歳だそうです。次男君が家内と一緒に貰いに行ったときは、両手に乗るほどの子犬でしたが、よく頑張って生きてくれました。当初、室内にいましたが、家内の足に噛みついて大騒ぎになって以来、やむなく屋外で生活してきました。しかし、寄る年波には勝てません。シニア犬の仲間入りを機会に、今秋から部屋の中に入れています。大きなゲージを用意してあげましたが、落ち着かないようなので、慣れるまでの間、様子をみています。
 さて、先週は東京に出張しました。いつものように早めに家を出ると、午前10時半頃には東京駅に到着します。仕事は午後1時からですから、久しぶりに神保町を散策しました。まずは、巌松堂を覗き、次いで小宮山書店に入ります。以前に比べると、美術・デザイン系に軸足を移しつつある感がありますが、奥の階段をのぼって3階(文学・哲学・世界史・キリスト教・日本史・仏教・地方史)に直行です。
 帰りがけに手にしたのは、応地利明著「世界地図の誕生」でした。大航海時代に誕生した地図史上の傑作「カンティーノ図」。人々は世界をどう認識し、地図に描いてきたのか。そんな帯の謳い文句が気に入りました。地図から知る思想性、芸術性、科学性、実用性。いろいろな古地図を見ながら、なんだか楽しくなります。眠れない夜に紐解くにはもってこいの本でした。
 突拍子もなくこんな本に関心を寄せたのは何故?実は、その前日、つまり月曜日のことですが、経済団体主催の会合で、ブータン王国から来日中のブータン国立研究所長のダショー・カルマ・ウラ氏の講演「国民総幸福度(GNH)によるブータンの国づくり」を聞いて、少し現実離れした世界を彷徨ってみたかったからでしょうか。通訳を介した2時間に及ぶ講演は、ここ数年モヤモヤしていた私の理解不能な曖昧さに一筋の光を当てるものでした。現代の日本人が忘れかけていたもの、古き良き時代。そんなことがじわりと全身に充満していくのを覚えました。
 このブログを開いて、来月で9年近くになります。折に触れて綴ってきた「大切なもの」「置き忘れてきたもの」、そういうものがブータンという国にはあるような気がしてなりません。物質文明を享受しすぎた現代人の心の落ち着きどころが、ひょっとしたらそこにあるのではないか。
 文化、価値観の在り様。講演資料には、幸福度について4つの「柱」が示されています。「持続可能かつ公正な社会経済発展」「我が国の脆弱な山岳環境の保全」「伝統文化の保護と振興」「良きガバナンス」の4つです。これをさらに詳しく解き明かす9つの「指標」には、「生活水準」「健康」「教育」「生態系の健全性」「文化」「精神的幸福」「時間の使い方」「地域社会の活力」「すぐれた統治(民主主義・平等・正義)」が示されています。
 「足ることを知る」。今の私の生き方とは正反対の生活が、そこにはあります。ハイレゾ音源では得られない、単調ではあっても自然の空気が充満した国土、私たちはそんな人の生き方を忘れ、右往左往している。様々な人為的行為が専門分化してしまい方向音痴に陥っている。それを誰でも判りやすい「幸福度」という視点から見渡そうとするおおらかな価値観。「長寿とはただ漫然と齢を重ねることではない。活力をもって、なによりも楽しむ。常に自分自身に問いかけること.......。」そんなお話しに頷くばかりでした。
 週末の仕事帰りに、阪急梅田駅の紀伊国屋書店で4冊の本を買い求めました。岩波新書「ブータンに魅せられて」、ブータン王国ティンレイ首相講演録「国民総幸福度(GNH)による新しい世界」、「ブータン王国の国民総幸福度(GNH)政策~仏教思想はどのように活かされるか」、「幸福の国ブータンに学ぶ『幸せを育む生き方』」です。

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