ずっと快晴が続いていましたが、暦どおり水無月を迎えた途端に関西も梅雨入りしました。ひとつの法則性があるとはいえ、四季の移り変わりを肌で感じるのは嬉しいものです。朝、庭に出ると、雨に濡れた額紫陽花が花開いていました。その近くにはドクダミが咲いていました。どこにでもある花なのに、雨にしっとりと濡れた白い花にほっとひと息つきます。旧暦では第二十五候、芒種、初候。「蟷螂生」。蟷螂(かまきり)が生まれ出る季節なのだそうです。 先週の日曜日は、孫君の運動会を覗きました。大勢の中から孫君を見つけるのは至難の技ですが、さすが両親。我が子の奮闘ぶりをカメラに納めていました。お昼を過ぎて、孫次男君がぐずぐず言い出すので、近くのホームセンターに用事があたったお祖父さんは、彼をベビーカーに乗せて子守役でした。でも、数分も経たない間に眠ってしまいました。涼しい店内でうろうろしながら、野菜の液肥やナメクジ退治の薬などを探し、そのあとペットショップなどを見て回って時間を潰しました。なんとものんびりしたものです。
そんな先週の半ば、同業他社の方と一献傾けました。と言っても1カ月前にお会いしたばかりなのですが、馬が合うというのでしょうか。お互い一期一会ではもったいないとばかり、呑み会の日程を決めて別れたのでありました。仕事帰り、北の新地で冷たいビールをいただきながら、お互いの仕事人生を振り返り、趣味の話、ご家族の話、いろんな話をしました。なんだか数十年来の親交があった仲だったんじゃあないかと錯覚を覚えたほどです。小雨降る中、9月の再開を約して別れました。定年年齢が近くなると、こういう出会いって多くなるのかもしれませんね。
新地には、昨夜も行っておりました。ある会合の打ち上げです。10数人ほどの出席者、様々な業界の方々でしたが、私の正面には大学のお偉い方で政治学がご専門の先生がお座りになりました。四方山話をしながら、ふと自分が政治学科を卒業したことを告げると、ゼミの先生は誰?と。脇圭平先生と告げると、なんとよくご存じで、しかもずいぶんお酒の大好きな先生であったこと、当時の錚々たる先生方の前でずいぶん厳しい指導を受けたことなど、懐かしそうにお話しになっていました。世界を飛び回っていらっしゃる先生と小さな話題を共有できたのは楽しいことでした。この日も、小雨舞うなか家路につきました。 話は変わりますが、塩野七生さんの「ローマ人の物語」。29巻を読み終えて今は30巻「終わりの始まり(中)」を読み進んでいます。といっても、気持ちを二千年前のローマ帝国の時代にもっていくには少し時間を要します。朝夕の通勤電車だと、気持ちが高ぶった頃には目的地に着いてしまう、そんな繰り返しですが、それでも想像力を働かせながら少しずつ読み進んでいます。
いま開いている頁は、第二次ゲルマニア戦役です。カエサルの時代から100年あまり経った時代。北から移動してくる蛮族との戦いが、映画でも見ているかのように浮かび上がります。そして、戦術と戦略の違いを、こうした歴史小説を読みながら考える。塩野さんならではの世界に惹きこまれて行きます。そんな高ぶる気持ちを抑えて職場に向かう。怖い者なしです(笑)。先週も何度かトップとやり合う場面も。リタイアまでそう長くない私だから言えることが、まだたくさんあります。それは戦術論ではなくまさに戦略論になります。 けさの朝日新聞に、今夕、BS-TBSで、塩野七生さんと俳優向井理さんが巡る「魅惑のイタリア大紀行~ルネサンスとは何であったか」が2週にわたって放映されるという告知記事がありました。ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ヴェネツィア、ナポリ、ポンペイを訪ねたのは、20年も前のことです。次回は、映画「ニューシネマパラダイス」の舞台になったシチリアを加えたいところです。今夜はきっちりと録画しておきましょう。