昨日のぽかぽか陽気とは打って変わり、早朝小雨が舞ったのでしょうか、しっとりとした街の風景を眺めながら、ゴンタ爺さんと朝のお散歩にでかけました。途中、公園で咲き始めた梅の花を愛で、一緒に春の訪れを喜んだものです。
散歩が終わって家に帰ったとき、ホウレンソウの畑にヒヨドリが数羽。最近、葉っぱが半分になっているホウレンソウが目立っていたので気になっていましたが、犯人はヒヨドリさんだったようです。冬場、餌に不自由したのでしょう。よい。よい。 先週は久しぶりに呉市に出張しました。用事を済ませて広島駅に戻ると夕刻の4時半。ふらっと途中下車して市内に向かいます。お目当ては、アカデミイ書店金座街本店です。広島勤務時代によく通ったお店です。それほど広くはないけれど、選書が良いのか、寄ると必ず何かを買って帰ります。今回は、新潮古典文学アルバムシリーズ「平家物語」と平凡社カラー新書「能の歴史」でした。しめて750円なり。この日は知人と流川で一献傾け、最終の新幹線で帰阪しました。
なぜ今頃「平家物語」かって?一カ月ほど前に観た能「正尊」に触発されて、その後スキマ時間に角川ソフィア文庫の「平家物語」を斜め読みしています。なにやら不思議な世界に足を踏み入れてしまいました。
ただ、私には、日本史の情報が頭の中にインプットされていません。明治維新以後は、なんとなくわかりますが、江戸時代以前の出来事はまったくもって別世界です。「平家物語」を眺めていても、いろんな人が登場するのに、その関係性が見えていません。それでも、ページごとの場面展開に、現代と変わらない人の心が透けて見えます。塩野七生さんの「ローマ人の物語」に共通する昔人の心象が、ぼんやりと見えます。
11世紀。欧州ではローマ帝国が崩壊して中世の時代に入った頃、十字軍がエルサレムを建国した頃。その頃、日本は源平合戦の世の中でした。百年単位のタイムラグはあるとしても、ローマ史を読んでいるのと同じ感覚で平家物語を斜め読みしてしまいます。 話はがらりと変わりますが、先日、縁あって私立高校の卒業式を覗いてきました。卒業生の入場に始まり、卒業証書の授与、校長先生の式辞、在校生の送辞、卒業生の答辞と、いわば定番のセレモニーです。その間の卒業生の一糸乱れぬ動きに、何かしら物足りなさを感じていました。
ところが、閉式の辞も終わり、やれやれと思いきや、ここで場面が大きく展開します。40名前後のクラス毎に起立をして、担任の先生の引率で退場しようとするまさにその時、卒業生の数名が大きな声で「○○先生、ありがとう!!」と声を張り上げました。すると、他の生徒たちも叫ぶ。これを聞いた担任の先生の目に涙が光ります。生徒の目にも涙が溢れます。退場する途中で生徒たちは、今度は保護者席の前で立ち止まり、整列してまたもや「ありがとうございました」と深々と頭を下げました。指示されたわけでもなさそうで、10数クラスの卒業生たちが、順番に思い思いの言葉、表現で先生、保護者に「ありがとう」と叫ぶ。
我が子でも我が孫でもない彼らの姿を見ていて、自然と涙が出てきました。なんの涙なのか分かりません。でも、止まらない。私自身の高校時代を思い出したのか。それとも若者に対する私の認識不足を恥じたのか。こんなに真っ直ぐに育った生徒たちに対する意外性?エールなのか。
学校の方に伺うと、「あの子たちはいつも私たちには判らないパフォーマンスをするんですよ」と微笑みます。この学校、少子化の時代を迎えて定員割れが続き、ある時期には学校の存続さえ危ぶまれた都会の小規模校ですが、古き良き校風は今もしっかりと引き継がれていました。今週から国公立大学の2次試験が始まります。多くの生徒たちが目標とする大学への合格切符を手にすることを願ってやみません。 そういえば昨日、孫次男君の幼稚園の入園が決まったとの知らせがありました。まだ2歳児ですが、集団生活の中で育てたいという母親(長女)の願いです。昨秋、抽選で外れていたのですが、この時期、親の転勤の関係でしょうか、入園辞退がちらほら出てくるのだそうです。昨日は2名の枠に4名が手をあげ、これまた抽選で決まったのだそうです。クラスは「いちご組」だとか。
孫長男君の場合は、当時、長女が働いていましたから、1歳から保育所に通っていました。それを思うと少し遅くなりましたが、集団生活が育む「生きる力」は、孫次男君にとって大きな第一歩になることでしょう。 先日立ち寄った大阪の百済寺跡。記録によれば、8世紀の頃、大陸の百済から渡来した王族の子孫によって建てられた寺院だそうですが、まさにローマ帝国が姿を消した頃、平家物語が生まれる前の時代です。今は公園になっている百済寺跡に立って、自分の立ち位置を考えると、古えの世界が、なんとも近しい存在になってきます。どうも最近、こんな視点から現実の世界を見つめてしまっていけません。歳なんでしょうか。境内の一画には、寄贈された雛人形が飾ってありました。来週はもう3月、ひな祭りの季節を迎えます。