秋の夕暮れ時、庭を囲む生垣から金木犀の香が漂ってきました。秋ですねえ。この金木犀、実は数週間前にも少しだけ庭先にほんのりと香を漂わせていました。どなたかのブログにあった「咲き急ぐ金木犀」の記事を拝見して妙に納得したものです。
手許の「歳時記」によれば、金木犀は原産地の中国から江戸時代に渡来した常緑樹で、木肌の紋様が犀の皮に似ているところから金木犀と名づけられたのだとか。木質は緻密で固く、算盤の珠や印鑑などにも使われるのだそうです。私にとっては「秋」を感じる香木です。
そんな香しい秋の朝、裏庭の生垣を這うアケビの蔓にいくつかの実が色づいていました。昨年は早々と小鳥たちに食されてしまいましたので、今年は少し早めに収穫しました。
子どもの頃は秋になると友達と一緒に山に入り、栗やアケビ、山葡萄などを採って遊んだ記憶が微かにあります。アケビの実は独特な風味がありますが、とにかく種が多いので、ほんの少しだけ食したあとは家の中に飾って秋を楽しむことにいたします。
さて、先週末は、大阪市中央公会堂であった「中之島文楽」を観劇してきました。「道行から始める人形浄瑠璃文楽の世界」という副題がついているように、初心者向けの舞台です。この日は、『妹背山婦女庭訓』から「道行恋苧環」、『曽根崎心中』から「天神森の段」が上演されました。
なかでも『妹背山婦女庭訓』は、近松門左衛門によるもので、本編はなんと10時間以上もかかる大作なのだそうです。娯楽の少なかった昔の人々にとってはたまらない出し物だったのでしょう。太夫の竹本織太夫さん、三味線の鶴澤燕三さん、人形遣いの吉田玉男さんなど、これからの文楽界を牽引する方々のお姿を頼もしく拝見いたしました。
この日は、作家の大島真寿美さんを交えたトークショーのほか、終演後には出演者全員が舞台に勢揃いしてのフォトセッションタイムもあり、コロナ禍で長く国立文楽劇場には不義理をしていたので、楽しいひとときを過ごしました。
さてさて、10月もあと僅かです。1週間も経てば霜月11月。ということは今年もあと2カ月ということになります。来月は下旬に横浜の次男君宅に出かける予定です。鎌倉・鶴岡天満宮で行う孫娘の七五三祝いに、のこのこ大阪くんだりから出かける爺バカです。
明日は所要で朝から京都にでかけるために1日早い更新となりました。