梅雨が明けて、きょうは「大暑」。ここに来て旧暦の季節感を肌で感じられる季節となりました。夕方、庭に水やりをするのが日課ですが、お疲れ気味の草木もなんとなく息を吹き返します。この調子であと1カ月、お天気と睨みっこする日々が続きます。 さてさて、この1週間も出たり入ったりの慌ただしい日々が流れて行きました。前回ご報告したように、先週半ばには愛媛県は松山界隈にお遍路ツアーに出かけてきました。ことし1月から始まったツアーも8回目を数えます。
初日は、標高1000mを超える四国山地に抱かれた久万高原の44番大宝寺と45番岩屋寺をお参りしました。前回は大宝寺から岩屋寺まで3時間余りをかけ、古くから山岳修験者の行場だった険しい山道を歩きました。高低差160mもある八丁坂では息絶え絶えでした。今回はバスツアーですから楽勝ですが、それでも結構な山登りです。途中、滝のような雨が降り出して立ち往生することもありました。 大宝寺の参道の草むらに「みささぎ権現」という札板が一枚建っていました。聞けば平安時代、後白河天皇の勅使が天皇の脳の病気快復を祈願したところ病が治ったとの言い伝えがあり、神仏習合で頭の病を治す神様として知られているとか。一緒に歩いていたお爺さんは、脳梗塞にならないようにと真剣に手を合わせていました。杉木立の向こうにお社跡がありますが、今は場所を移動しているのだそうです。
お遍路をしていると、いろいろな所でこうした言い伝えが今に受け継がれています。眼の病気、癌、禁酒などなど。科学的根拠もない言い伝えですが、お大師さまに向かって自然と手を合わせてしまいます。人間、最後はこういうことなんでしょう。きっと。 久しぶり汗をかいたあと、この日のお泊りは道後温泉でした。温泉に浸かって一日を疲れを癒し、同行の士と一献傾ける一期一会の楽しいひとときを過ごします。これもお遍路のひとつの楽しみでもあります。
二日目は、逆回りで、51番石手寺、50番繁多寺、49番浄土寺、48番西林寺、47番八坂寺、そして46番浄瑠璃寺と巡っていきました。いずれも平たんな街中に点在していて、それぞれ20分も走れば到着する距離感です。
広い境内に国の重要文化財が建ち並ぶ石手寺では、昔ながらの回廊(参道)を歩いて本堂に向かいますが、帰り際前回品切れだった名物の「やきもち」(白とヨモギ)を手にすることができました。 最後にお参りした浄瑠璃寺では、先達さんお勧めで「魂の転生」という小冊子(400円)を手にしました。この歳になると妙に死後の世界が気になります。中陰→断末魔→魂の旅立ち→初七日→賽の河原→三途の河→十四日→二十一日→二十八日→三十五日→四十二日→四十九日満中陰→六道の門→百か日→一年→三年→七年→十三年→三十三年→五十年を経て「佛界」に到達する魂の転生が分かりやすく紹介されていました。
初七日とか三回忌とか、日頃よく耳にする言葉を深く考えることなくあたり前のように受け止めていましたが、それぞれに節目の仏教的な意味があることを知ることができます。こんな具合で、3回巡っていても、その都度新しい発見があるところに四国遍路の不思議があります。
さてさて、連日暑い日が続く中、ここらあたりで静かにしておればよいものを、昨日は、シニア仲間たちと大阪ミナミの繁華街に近い島之内のお茶屋「たに川」のお茶屋サロンに行ってきました。かつては北新地、新町、堀江、そしてミナミにあった花街、中でもミナミは全盛期には二千人近い芸妓がいたと言いますが、戦災を境に衰退の一途をたどり、今では芸妓も北新地に数名、そしてここ「たに川」さんに4名という状況だとか。そんな花街文化を伝えるのが谷川恵さんが主宰するサロンです。私のような庶民にとっては無縁の世界ですが、一度は見ておきたい花街の風景でした。 ということで、この1週間もあっという間に過ぎていきました。さあて今週はどんな1週間になることやら。とりあえず、明日の夜は国立文楽劇場にサマーレイトショー「夏祭浪花鑑」を観劇に出かけます。水曜日から金曜日はNPOの仕事に忙殺され、週末の土曜日には山本能楽堂に新作能「水の輪」2023~東洋と西洋の出会いを観に行きます。お気軽なものです。