心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

檜の香りを楽しむ

2023-04-05 20:15:43 | Weblog

 ここ数日、朝がたはひんやりするものの、陽がのぼる頃になるとぽかぽか陽気につつまれ、庭のあちらこちらで草木が芽吹きます。ブルーベリーも元気にお目覚めです。そういえば今年はカリンの木にたくさん花が咲きました。よく見ると、何個か結実しそうです。ご近所のお爺さんからいただいたカリンの実の種を植えて5年が経過します。
 そんなある日、自転車で郊外に足を伸ばしました。小さな製材所の傍を通りかかったとき、製材したあとの真新しい檜の破片が積まれ、辺りに檜の香りが充満していました。傍にいた人に「この切りクズ、少し譲っていただけませんか」と言うと、「いいよ。もっていきな」「お代は?」「いらないよ」と。お言葉に甘えて自転車の前カゴに入るだけいただいて帰りました。
 その切りクズをどうしたと思いますか?10個ほど網袋に入れてお風呂に入れました(笑)。お風呂の蓋をあけると檜の香りが広がります。小さい頃、実家のお風呂が檜風呂だったことを思い出しました。昨今、花粉症に悩まされている方も多いと思いますが、樹の香りは人の心を和ませてくれます。「香り」から自然の生命(いのち)をいただきます。贅沢な時間です。
 「自然」といえば、4月に入ってNHK連続テレビ小説「らんまん」が始まりました。生物学者であり民俗学者でもある南方熊楠とほぼ同時代を生きた、日本植物学の父といわれる牧野富太郎をモデルにしたお話しです。
 その牧野博士の功績をたたえて65年前に開園した高知県立牧野植物園を、私は四国遍路のときに訪ねました。早朝、小雨が降るなか31番札所竹林寺に向かう遍路道を歩いていて、いつの間にか牧野植物園の中を歩いていました。そうなんです。植物園の中に古い遍路道が通っていました。入場料が要りそうなのですが、ちゃんと無施錠の出口もありました。
 竹林寺にお参りする頃には大粒の雨が降っていて、しばし本堂で雨宿りしました。「三人よれば文殊の知恵」といいますが、ご本尊である文殊菩薩のご真言「オン アラハシャ ノウ」を今でも覚えています。
 歩き遍路といえば、前回ご紹介した白川密成さんの「マイ遍路」(新潮新書)が、新聞各紙の読書欄でも取り上げられています。その密成さん、4月3日に新潮社のWEBマガジン「考える人」 https://kangaeruhito.jp/ の「考える四季」のコーナーに、「四国遍路を世界遺産に!札所住職の考えるその魅力と課題」と題して記事を寄せていらっしゃいます。その同じ日には、WEBマガジン「考える人」に連載中の恐山菩提寺院代・南直哉さんが、朝日新聞「会社を離れた自分に価値はあるのか 「バカな錯覚」中年の孤独に一喝」と題するインタビュー記事に登場されていました。それに感化されたためか、きょう開講した「春季水彩画教室」の画題は、毎朝お散歩する近所のお不動さんの境内でした。
 先行き不透明な時代環境のなかで迷えるヒツジさんがたくさんいらっしゃるようです。私もその1人かもしれませんが、騒々しいテレビ文化を離れて、ときには「自然」の中に身を委ねて生き仕方を考える時間を大切にしたいと思っています。

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