心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ギアチェンジ

2006-01-08 16:35:38 | Weblog
 北国は寒波に見舞われ記録的な大雪だというのに、ひと山越えた太平洋側は小雪が舞う程度。時折、明るい青空さえ見える1日でした。狭い国土なのに、こうも天候が違うものかと思ったものです。
 そんな新年早々の休日、わたしはレコードを聴きながらゆったりとした時間を過ごしました。このところ、マルタ・アルゲリッチを集中的に聴いていて、きょうの曲目は、ショパンのピアノ協奏曲第1番ホ短調と第2番へ短調でした。実は、ショパンのピアノ協奏曲を聴くのは初めてです。きのう仕事帰りに立ち寄った中古レコードショップで見つけてきました。彼が20歳の頃の作品で、初恋のひと、若いソプラノ歌手コンスタンツィア・グラドコフスカへの慕情と憧れの思いが込められていると解説にありました。
 青年ショパンの初恋の情熱に少し疲れを感じたわたしが次に聴いた曲、それはグレゴリオ聖歌でした。歳のせいなんでしょうか。これをBGM代わりに、季刊誌「考える人」2006年冬号を楽しみました。今号の特集記事は「1962年に帰る」です。1962年といえば、アルゲリッチが21歳の頃、日本では60年安保と東京オリンピックの間にあって、いま思えば、その後の高度経済成長へと突き進む時代の胎動期だったような印象があります。当時、わたしは、雪国に育つ一人の小学生に過ぎませんでした。同じ国に生きながら、地方と都会の文化の違い、時代の勢いの違いを思いました。
 この季刊誌は、今回からいくつかの新しい連載記事がスタートします。「ファーブルの地で昆虫を追う」「仏典を読もう」「私の暮らしかた」「小屋の流儀」など。脳科学者の茂木健一郎氏の「恐山探訪記」は、昨夜、ふとんのなかで恐る恐る(?)読みました。長崎訓子さんのイラスト・ルポ「古本なんで大っ嫌い!!...?」も、楽しく拝見しました。ふだんは仕事関係の本を読む機会が圧倒的に多いのですが、いやそれだからこそ休日は、仕事とは全く無関係な本を、少年のような好奇心をもって読む。これが、わたしの生き方です。目の前に突如現れる「怪物」に動じず、冷静に現象を見つめる強かさ(したたかさ)を育む柔軟体操でもあります。
 昭和という時代、古本、中古レコード...。感傷的な懐古主義では困りますが、古きものからわたしたちが置き忘れてきたものを見つけ出すことの意味を思います。最近、幼い子を殺したり、赤ちゃんを誘拐したり、そんな事件があまりにも多すぎます。学校では学級が崩壊し教育が成り立たないという報告もあります。熟年離婚、少子化....。なにか歯車が狂い始めているような風潮が気になります。どこかで、いったん「ギア・チェンジ」する必要がありそうです。
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